2022年10月1日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年7月8日

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他のラテンアメリカ諸国から予想される結末

 コロンビアは、権威主義的指導者に好意的なラテンアメリカにあって、その政治は穏健な傾向にあり、長年にわたり特異な存在であった。左派過激主義は、マルクス主義ゲリラ集団であるコロンビア革命軍(FARC)と結びつけられたため、何十年もの間、不人気であった。歴代政府は米国との強い結びつきを好み、投資家はコロンビアに殺到した。

 近年、コロンビアの経済成長は力強く、一人当たりの所得は2000年の4000ドルから、パンデミック前には6400ドルへ上昇した。しかし、不平等が極端に進んでいる。税金を払っているコロンビア人はほとんどいない。このようにして、国民の不満が高まって行ったことが、今回の選挙の結果につながった。

 コロンビアの民主主義は試練の時を迎えている。ラテンアメリカにおいて、メキシコのロペス・オブラドール、ブラジルのボルソナーロ、ペルーのカスティージョ等、国民が変化を期待して選んだ大統領がどのような統治を行なったかを見れば、コロンビアの将来についても不安を持たざるを得ないが、国民はそれでも変化を望むほど思い詰めているということなのだろう。

 一貫して親米右派が政権を担ってきたコロンビアにおいて初めて左派政権が誕生したことは、ラテンアメリカの地政学に重要な意味を持つと思われる。今回の選挙の結果、西半球における米国の影響力が一層低下し、その分、中国やロシアがますます存在感を高めることが想定される。

  
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