冷え込む不動産市場で表面化
怪しげな案件で集められた資金、その多くは不動産投資に流れ込んでいた。不動産価格が右肩上がりで上がっていれば、ちょっとしたやんちゃ、たとえば河南省村鎮銀行のように他行の金利1.5倍で預金かき集めをやっても、なんとか回る。
ところが2020年秋に中国政府が導入した不動産規制によって市場は冷え込み、昨年の恒大集団のデフォルト危機を経て、不動産市場はここ数年では覚えがないほどの冷え込みを示している。
7月15日、中国国家統計局は経済統計を発表した。0.4%増という低い経済成長率に注目が集まっているが、経済全体と比べると不動産市場は突出して悪い。今年1~6月の不動産販売額は前年同期比で3割減という落ち込みだ。
不動産販売の手付金にいたっては約4割減とさらに低い。手付金の減少は、買い手がまだ下がる可能性が高いと様子見していることを示す。不動産市場の悪化はまだ底が見えていないわけだ。
さらに、不動産企業の資金繰りが悪化する中、すでに販売済みなのに建設工事がストップしたマンションが増えているようだ。住宅ローンの返済が始まっているにもかかわらず、いつまで立ってもマンションが完成しない。こうした状況に業を煮やした購入者から「住宅ローン返済中止」を宣言する公開書簡が出され、話題となっている。中国メディアの統計によると、こうした建設がストップしたマンションは全国80都市以上に広がっているという。
経済が好調ならば目立たなかった〝傷〟が今、一気に表面化しつつある。特に不動産をどう手当するかは最重要課題だ。
もしソフトランディングに失敗したならば……。抗議デモやストライキなどの発生数が年10万件を超えた、あの胡錦濤時代が戻ってくるかもしれない。