このほか、有権者を年齢別に分析したところ、「18~29歳」では、民主党支持「46%」、共和党支持「28%」、「30~44歳」でも、民主党支持「52%」、共和党支持「31%」で、いずれも民主党支持が大きく上回った。しかし、「45~64歳」では、共和党支持「50%」、民主党支持「35%」、「65歳以上」では、共和党支持「45%」、民主党支持「39%」と逆転している。
男女別の分析結果では、女性では、民主党支持が「44%」で、共和党支持の「34%」を大きくリード。逆に男性では、共和党支持が「47%」に対し、民主党支持は「38%」だった。
また、「学歴別」の分析結果によると、「大学卒以上」では、民主党支持が「56%」も占めたのに対し、共和党支持は「32%」にとどまった。逆に、「高卒以下」では、共和党支持が「45%」とリードしたのに対し、民主党支持は「33%」だった。
変化しつつあるトランプ支持層
この点に関連して、注目されるのが、共和党内に依然大きな影響力を持つといわれるトランプ支持層の実態だ。
これまで米メディアが繰り返し報じてきたところによると、トランプ支持者の大半は、ペンシルバニア、オハイオ、ミシガンなど中西部ラストベルト(錆びついた工業地帯)や保守的南部諸州に居住する大卒以下の白人で占められてきた。
ところが、国勢調査局などのデータによると、全人口に占める「Bachelor(学士号)取得者」は、20年度「30.4%」から21年度に「37.4%」となり、年々増加傾向にある。これに対し、高卒またはそれ以下の人口の割合は「25.3%」と下回り、一段と減少傾向にある。
トランプ氏は、16年大統領選挙を通じ、こうした米国社会で孤立しつつある白人の特定の集団相手に、単純明快な「再び偉大なアメリカを!Make America Great Again=MAGA」のスローガンを巧みに売り込み、ホワイトハウス入りを果たした。そして、20年大統領選では、再選を果たせなかったにもかかわらず、「バイデン当選」阻止目的で、米議会史上最悪といわれる「連邦議事堂乱入・占拠事件」を引き起こした。そのお先棒を担いだのも、「高卒以下の白人層」が中心だった。
しかし、今回の中間選挙では、「ニューヨーク・タイムズ/シエナ・カレッジ合同調査」が示す通り、民主党は防戦の立場にあるにもかかわらず、女性層、大卒以上の白人の間で支持を増やし始めており、その結果、現段階で意外にも「ほぼ互角」の情勢となってきたものとみられる。
米国民の心を揺るがす事件
その背景にあるのが、過去1カ月の間に、米マスコミが一斉に報じてきた全米を揺るがす相次ぐ社会的大事件にほかならない。
まず、各地で痛ましい銃乱射事件が相次ぎ、多数の犠牲者が出たことをきっかけに、野放し状態となってきた一般市民による銃砲所持について、一段と厳しい規制措置を求める声が全米で盛り上がってきた。
ところが、保守派判事が多数を占める連邦最高裁が、国民の大半の意思を無視するかのように、銃砲所持の規制を厳格化したニューヨーク州法を「違憲」とする判断を下し、規制撤廃を求める銃砲自由所持派を支持した。このため、各地で、最高裁の〝横暴〟を非難する集会やデモが繰り広げられた。
その最高裁は続いて翌日に、これまで半世紀近くにわたり憲法で保証されてきた女性の「妊娠中絶選択権」を却下。事実上、中絶を禁止する異例の判断を示した。その直後に、CNNテレビが実施した世論調査によると、国民の59%が最高裁判断に「反対」、「賛成」は41%にとどまった。