2024年2月27日(火)

バイデンのアメリカ

2022年7月17日

 とくに、中絶問題は、全米有権者の過半数を占める女性の間で大きな波紋を広げつつあり、ミシガン、カンザス、カリフォルニア、ケンタッキーなどの各州において、中間選挙の際に、中絶権認可の「州憲法明文化」について住民投票にかける動きが盛り上がりつつある。住民投票実施によって、これまで政治参加に消極的だった婦人層の投票率が上がり、それだけ、民主党が有利になるとの判断がある。

 銃砲所持規制をめぐる最高裁判断についても、国民の56%が異議を唱え、支持派を大きく上回っている。

 これらの動きに加え、その後、下院特別委員会が真相解明中の「連邦議事堂乱入・占拠事件」に関連し、当時のトランプ大統領やその側近たちが20年大統領選挙結果転覆工作に直接関与したとする新たな証言が相次ぎ、その模様が連日にようにテレビ中継されるにつれて、「民主主義の根幹を揺るがす大スキャンダル」だとして、国民の関心も予想以上に高まりつつあるのも事実だ。

 この点で、「ニューヨーク・タイムズ/シエナ・カレッジ合同調査」で、共和党有権者の過半数が24年大統領選において、トランプ氏以外の候補を望んでいることも明らかにされており、このところ、「トランプ・ファクター」が共和党支持率の足を引っ張るかたちとなっている。

それでも民主党の劣勢は続く

 しかし、だからと言って、中間選挙において、民主党が両院、とくに下院において、勝利を収める確証は今のところない。

 逆に、14日発表された米議会専門誌「Congressional Quarterly」の電子版「Roll Call」の各州別の情勢調査によると、共和党は下院において、現議席数より7議席増の221議席の多数を制し、下院議長のポストを奪回する見通しだという。さらに、今後の情勢次第では、さらに上積みする可能性にも言及している。

 ただ、同誌はその一方で、「例年の中間選挙では、野党が平均30議席増となってしかるべきだが、今回、わずか7議席増にとどまっていること自体、共和党のリードはあまりにも少なく、喜んでいられる状況ではない」とも指摘している。

 また、上院での見通しについては、今回何も触れていない。

 言い換えれば、「ニューヨーク・タイムズ/シエナ・カレッジ合同調査」が示す通り、今回の中間選挙は、これまでの予想に反し、与野党が接戦状態になりつつあることを示していることにもなる。

 では、民主党は、バイデン大統領の支持率低迷と内外に難題を抱えているにもかかわらず、なぜ、ある程度踏みとどまっていられるのか。

 「Roll Call」は結論として、「民主党候補の多くが、各選挙区において、バイデン大統領の不人気とは距離を置き、個人的資質や魅力で善戦しているからだ」と説明している。

 投票日まで4カ月足らずを残すのみとなっている。まだ、今年の中間選挙では、いくつもの波乱要因が飛び出してくる可能性も否定できない。

   
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