2022年8月18日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年7月28日

»著者プロフィール

 今日の香港においては、中国による人権抑圧が続いているとして、Taipei Timesの7月7日付け社説‘One country, one system’が「一国二制度」ならぬ「一国一制度」の状況を描写している。

Oleksii Liskonih / iStock / Getty Images Plus

 同社説は、かつて「一国二制度」の香港の形態が50年間続けば、それは台湾問題解決の前例になると中国は称していたが、習近平体制下において、すでに香港は「一国二制度」ではなく、「一国一制度」に変えられてしまった、と指摘する。その通りだろう。今日では、2300万人の台湾住民にとって「失われた香港」がもっていた魅力はすでに存在しないも同然と言ってよい。

 英国と中国の間で香港返還が決定したのは、1985年5月の「香港問題に関する英中共同声明」においてである。その中で「中国は香港の現実を50年間維持する」旨述べている。この英中共同声明の背景については当時、鄧小平が次のように述べていたことが知られている。(1984年10月中央顧問委員会)

 「一国二制度」というのは、中国の実際から出発して提起されたものだ。中国としては、一つは香港問題に直面し、もう一つは台湾問題に直面している。香港が中国に返還された後、50年間その形態を維持できれば、台湾問題もそれに倣って解決できるだろう。

 もはや「一国二制度」が香港において存続していないことの証として、上記Taipei Times社説が挙げた最近の実例の一つは、カソリックの元枢機卿(陳日君90歳)が「国家安全法」に反して、「外国勢力と共謀した」との理由で本年5月に逮捕されたケースである。逮捕される前に、枢機卿は「われわれは罠にかかった。香港はもはや香港ではない、中国のもう一つの都市にすぎない」と述べたという。

 また、ローマ協会の非公式な香港駐在代表のJavier氏は、2020年に「国家安全法」が科される前から、一部資料や文書を安全な場所に移しておいた、と述べている。

関連記事

新着記事

»もっと見る