また、ある国からの移民が増えると、その移住元の国の人は人的ネットワークを通じて情報を得やすくなり、移住後の手助けも得られるなど、移住に際しての費用が低くなる効果も期待できる。このように、働く場を選ぶという面でも、移住の費用の面でも、移住しようとする外国人がすでに母国の人が多いところを選ぶ誘因が生じるのである。
人口流動踏まえ、共生図るまちづくりを
これらのことは、すでに外国人が集中している大都市部だけでなく、人口減に悩まされる地方にとっても重要な政策的含意を持つ。新たな社会の担い手として外国人の移住を促進したい場合に、その人達の技能を生かせるよう企業とのマッチングを支援したり、定住サポートなどをして、一定数以上の外国人に定住してもらえば、集積の経済やネットワーク効果を通じてさらなる流入が期待できるのである。
もちろん、こうした移住の増加は、元々の住民との間でさまざまな軋轢を生じさせる可能性もある。単純に外国からの移住者を増やそうとすると、文化や習慣の違いから住民の分断を生む可能性もあり、そのような分断は、場合によっては地域行政を機能不全に陥れることを示した研究結果もある。外国からの移住者を増やそうとするのであれば、どのように共生していくのかについての十分な検討が欠かせない。
『Wedge』2022年7月号では、「日本を目指す外国人労働者 これ以上便利使いするな」を特集しております。
〝人手不足〟に喘ぐ日本で、頻繁に取り上げられるフレーズがある。「外国人労働者がいなければ日本(社会)は成り立たない」というものだ。しかし、外国人労働者に依存し続けることで、日本の本当の課題から目を背けていないか?ご都合主義の外国人労働者受け入れに終止符を打たなければ、将来に大きな禍根を残すことになる。
特集はWedge Online Premiumにてご購入することができます。
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