2022年10月1日(土)

教養としての中東情勢

2022年8月4日

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 7月25日、ザワヒリ攻撃に関する最終会議が開催された。出席者はバイデン大統領、バーンズCIA長官、ヘインズ国家情報長官、アビザイド・テロ対策センター長、サリバン補佐官らだった。

 会議では、巻き添え被害を最小限にするため目標だけを殺害するヘルファイア・ミサイルの使用も決まった。大統領は会議で「作戦を実行すべきか」と問い、全員が賛同。最終的に決断が下った。

 7月31日早朝。ザワヒリはいつものように6時15分にバルコニーに1人で姿を現した。3分後、空中に待機していたCIAのドローンが2発のヘルファイアを発射、ザワヒリを殺害した。他に被害者はいなかった。米側はザワヒリの死亡をさまざまな情報源から確認したという。

タリバンの権力闘争激化か

 攻撃後、ハッカニ・グループは現場一帯を封鎖、ザワヒリが住宅に滞在していた痕跡を消そうとする動きが見られた。タリバンが米軍撤退に当たり「テロ集団との関係を断つ」と合意していたことに反し、グループがアルカイダとのつながりを密かに維持していた事実がはからずも明白になった。

 タリバン政権が、グループがザワヒリを庇護下に置いていたことを知っていたのかは不明だ。しかし結局のところ、20数年前のタリバンと何ら変わりがない実態が白日の下にさらされた格好で、国際的な信用をさらに失った。

 しかし、政権内には速やかに国際的な承認を獲得し、米国が凍結している70億ドル(約9000億円)を入手することを求めている穏健派も多くいる。今後、強硬派との権力闘争が激化するのは必至だろう。

 一方のアルカイダはソマリアや西アフリカなど各地に拡散、増殖しているが、それぞれ独立して活動しており、ザワヒリの殺害によって大きく影響を受けることはない。ザワヒリの死は「9・11」時代の終焉という象徴的な意味でしかないのかもしれない。

  
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