20年以上も姿をくらまし続けた国際テロ組織アルカイダの指導者アイマン・ザワヒリ(71歳)が米無人機の攻撃で殺害された。ザワヒリはアフガニスタン戦争の原因になった「米同時多発テロ9・11」の最後に残った首謀者。米国は名実ともに、9・11に決着を付けた形となった。米メディア報道などから中央情報局(CIA)の執念の〝仇討ち〟ともいえる暗殺作戦の内幕に迫った。
ザワヒリを追跡し続けてきたCIA
ザワヒリとはどんな人物だったのか。一言で形容すると、「不屈のテロリスト」。アルカイダの理論的な支柱でもあった。
伝説的な指導者オサマ・ビンラディンの副官として2001年9月11日、ニューヨーク・マンハッタンの超高層の世界貿易センタービル2棟に旅客機を突っ込ませるという史上最大のテロを引き起こした。
9・11の報復として米軍がアフガニスタンに侵攻し、時のタリバン政権を打倒したが、ビンラディンとザワヒリは戦争の混乱に紛れて姿を消した。ビンラディンは11年にパキスタン・アボタバードに潜伏していたところを米特殊部隊シールズによって暗殺され、ザワヒリが後継の指導者となった。
ザワヒリは元々、エジプト人の内科医。早くからイスラム原理主義に傾倒し、サダト・エジプト大統領暗殺に関与したとして逮捕された経歴を持つ。アフガニスタンでビンラディンと知り合い、専属の主治医に。その後、タンザニア、ケニアの米大使館爆破事件などを指揮するなどテロ作戦の立案を指揮した。
9・11に対する米軍の報復爆撃で妻と子どもががれきの下敷きになった際、妻は助け出されることを拒否したという。男の救助員にベールの下の自分の素顔が見られることを恐れたためだった。ザワヒリ同様、妻も敬虔なイスラム教徒であることを物語るエピソードだ。
CIAはザワヒリを追跡し続けてきた。というのも、CIAには〝チャプマンの悪夢を忘れるな〟という教訓が生き続けていたからだ。