訪台直前にペロシ氏は、1979年の米国議会が制定した「台湾関係法」の一文を引用し、「平和的手段以外で台湾の将来を決定しようとする試み」が「西太平洋地域の平和と安全への脅威」であり「米国にとっての重大関心事」であると主張した。
日本も具体的な準備を
習近平・バイデンのオンライン会談において、ペロシ氏の訪台について中国側は「火遊びをして大怪我をするな」と米側に牽制球を投げていた。現実のペロシ訪台は党大会を控えた習近平国家主席にとってメンツにかかわる大問題になる可能性もあろう。中国人民解放軍は8月4日から、台湾周辺で実施すると公表していた「重要軍事演習」海域を6カ所指定し、台湾を封鎖する格好で軍事演習を実施した。
それに対して、米国は、台湾東部の海域に「空母レーガン」と数隻の艦艇を派遣し、中国側の軍事演習を監視・警戒する体制をとった。
なお、日本政府は中国軍が軍事演習と称して発射した弾道ミサイル5発が日本の排他的経済水域(EEZ)に着弾したと発表した。この点について、小野寺五典元防衛大臣(自民党安全保障調査会長)は「しっかりした防衛力、とくに反撃能力の保持について、一刻も早く政府としての方針を決め、整備に当たってほしい」と述べているが、日本としては台湾有事の際、いかに対応するか、シミュレーションを行うだけではなく、米国・台湾との間で緊密に連携・協議し、反撃ないし迎撃を行うための具体的準備をととのえておくことは、喫緊の課題であると思われる。