2024年12月13日(金)

2024年米大統領選挙への道

2022年8月26日

トランプの上院激戦6州

 上院選でトランプ氏が推薦した激戦6州の「MAGA(マガ)候補(Make America Great Again:米国を再び偉大にする)」は苦戦を強いられている。6州はペンシルべニア、オハイオ、ノースカロライナ、南部ジョージア、西部アリゾナとネバダである。こちらもシミュレーションを行ってみよう。

共和党上院トップのミッチ・マコネル院内総務は、トランプ氏が推薦した候補の「質に問題がある」と懸念を示した。率直に言ってしまえば、「玉が悪い」のだ。

 もしオハイオ州とノースカロライナ州で、MAGA候補が勝利した場合、激戦6州におけるトランプ氏の勝敗は2勝4敗になる公算が高い(図表3)。他の4州では、民主党候補がリードしているからだ。

 オハイオとノースカロライナのどちらかの州を落とせば、1勝5敗になる可能性が高くなる。両州でMAGA候補が敗れると0勝6敗である。

 接戦のジョージア州でMAGA候補が勝利したとしても、3勝(オハイオ州、ノースカロライナ州、ジョージア州)3敗(ペンシルベニア州、アリゾナ州、ネバダ州)になる。いずれにしても、激戦6州においてトランプ氏が推薦したMAGA候補の勝率は、0%から50%の範囲内に留まる確率が高い。50%を超えるのは困難かもしれない。

 つまり、トランプ氏が推薦した激戦州のMAGA候補が全員、圧倒的な強さで勝利する可能性は低いと言わざるを得ない。

熱意の変化

 投開票日まで80日を切り、有権者の意識に変化が出てきた。米NBCニュースが、8月8日の米連邦捜査局(FBI)によるトランプ氏私邸家宅捜索の後に行った世論調査(22年8月12~16日実施)をみてみよう。全米を対象にしたこの調査では、米国が直面している最も重要な問題に関して、「民主主義に対する脅威(21%)」が、初めて「生活費(16%)」を上回った。同年5月の同調査においては、生活費が22%でトップであった。

 トランプ氏の機密情報持ち出しが、少なからず影響を及ぼしたのだろう。また、中間選挙に対する民主党支持者の熱意の高さにも変化が見られる。同年3月の段階で50%であったが、同調査では民主党支持者の熱意の高さが16ポイントも上昇して66%になった。こちらも、トランプ氏の機密情報持ち出しが民主党支持者を活気づけたといえそうだ。

 トランプ前大統領は、民主党支持者、無党派層およびトランプ支持者の「共通のモチベーター」になっている。民主主義の擁護を重視する民主党支持者と無党派層の熱意の合計が、トランプ支持者の怒りを上回れば、当初予想したよりも、民主党は中間選挙で善戦するのではないだろうか。

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