神宮外苑地区については、この制度の適用を想定し、まちづくり指針が策定された。これを踏まえて事業者である三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事が20年2月に「神宮外苑地区公園まちづくり計画」の提案書が提出された。
東京都は検討会や審査会を経て、制度を適用することを決めた。
スポーツと防災を強みとした今回の計画
今回の計画のポイントは,まず神宮第二球場を取り壊し、そのあとに屋根付きの全天候型ラグビー場をつくってから秩父宮ラグビー場を解体して野球場をつくることで、秩父宮ラグビー場と神宮球場が利用できない期間を短縮したことだ。そして民間のビル開発を取り込んだことにより明治神宮が所有する神宮球場や秩父宮ラグビー場の建て替えが可能となった。
最終的な提案である神宮外苑地区公園まちづくり計画は、神宮外苑地区の新たな100年に向け、スポーツを核とした、バリアフリーが実現された誰もが気軽に訪れて楽しむことが出来る公園の再編と、災害の際の帰宅困難者収容や防災へリ発着を含む広域避難場所として防災性を高める計画となっている。
計画区域内を「みどり・交流ゾーン」「みどり・憩いゾーン」「スポーツ・交流複合ゾーン」「文化・にぎわい等複合ゾーン」「高度業務・商業ゾーン」に区分けし、スタジアム通り側及び青山通り側にビルを建てることにしている。
新宿御苑から赤坂御用地へとつながるエリアで、緑樹といちょう並木が連続的に確保されることで、公園まちづくり計画区域全体の緑の割合が約25%から約30%に増える。面積にして約1.5ヘクタール分である。都市計画公園から外れた今回の神宮外苑再開発計画区域約3.4ヘクタールでは,公園まちづくり制度の適用要件である緑地等確保率原則60%以上を満たしている。環境は保全された形だ。
現代の日本において定着している国体は、明治神宮国民体育大会が発展したものである。各種の本格的な競技場を備えた神宮外苑は日本の運動公園の元祖である。
筆者も樹木をできるだけ伐採するべきでないという意見に同感するが、今回の計画は全体として政教分離のために公費を投入せず運動公園の基本を守りながら多くの難点の解消をはかった計画と評価できる。