ペロシ訪台については、中国側による強烈な反応の一方、台湾社会は比較的冷静に対応している。世論調査の結果などを見ても、台湾人の半数以上がペロシ議長を歓迎し、与野党ともに多数は歓迎で一致していた。ペロシ訪台が実現した結果であろうか、台湾では、いざという有事の際には、台湾は米国に見捨てられることは無い、という漠然とした台湾人の期待感が生まれたようにも見られる。
今や中国の軍事力は脆弱ではない
台湾国防部は9月1日、中国大陸に近い金門島周辺に飛来した所属不明の無人機を撃墜したと発表した。退去するよう警告しても効果がなかったので撃ち落としたと説明している。
なお、最近、米政府は空対空ミサイルなど1500億円規模のミサイルなどを台湾に売却することを決定した。台湾国防部は、これを歓迎し、感謝するとの姿勢である。
ペロシ訪台への報復とみられる中国側の軍事的威嚇状況は上記のように継続中である。今日の中国の軍事力は、1995~96年の「台湾海峡危機」の頃のように脆弱なものではない。日本としても防衛力の抜本的強化をめざすとともに、日米同盟の対処力と抑止力をより堅固なものとすることが、いざという時の台湾有事や日本有事に備える道であろう。