第11回 エポック・ジャパン社長 髙見信光さん(46)

チャンスは突然やってくる
リスクなきチャンスなどない
20年を経ても忘れられない失敗がある。
「大学を卒業して信託銀行へ入社し、7~8か月目に、上司から『ファンドマネージャーにならないか』と打診されたのです。私の目標でもあったので、声をかけてもらえたことは非常にうれしかったですね。しかし、考えに考え、上司に『まだ早いと思います』とお断りの返事をしました。当時の私には経験がなく、きっと失敗すると思ったのです。同時に『どうせまたすぐチャンスは巡ってくる』という過信もありました」
結局、上司は彼の同期入社組の中から別の社員を抜擢した。その“二番手”ともいえる人物は、何か頼まれれば「行きます!」と元気よく反応するたぐいの人物で、彼は様々な失敗を経験しながらもキャリアを積み上げて行った。一方、髙見には2年たっても3年たっても声がかかることはなかった。
「みじめなものです(苦笑)。ライバルは既に経営の中枢にいて、一方私は、出たい会議にも出られない」
結局、そのときについた差は、髙見が転職し退社するまでずっと埋まらなかった。
「チャンスというものは、往々にして、完璧な状態で来るものではない。今は時期尚早だ、多忙で苦しい、そんなときにも来るものなのです。私が、原則、いただいたお話に『NO』と言わなくなったのは、そのときからですね」