2024年12月23日(月)

あの挫折の先に

2012年11月29日

第8回 「湘南ビール」の生みの親
熊澤酒造株式会社 六代目蔵元 熊澤茂吉さん(43)

 神奈川県茅ヶ崎市の造り酒屋「熊澤酒造」。日本酒「天青(てんせい)」「曙光(しょこう)」のほか、地ビール「湘南ビール」を販売し、今や全国区の人気を誇る酒蔵だ。

 敷地内には、イタリアンレストランや創作料理店なども併設されており、店は家族連れなどでにぎわっている。経営者の六代目・熊澤茂吉によれば「そもそも蔵元は地域文化の中心としてみんなが自然と集まる場所だった」そうで、彼は「この姿を取り戻すためにも、さまざまな店舗をつくり展開してきた」と話す。

くまざわ・もきち/1969年、神奈川県生まれ。早稲田大学教育学部に入学し、庭球部に所属、副主将を務める。卒業後、米国留学を経て祖父が経営していた熊澤酒造を継ぎ、日本酒の新ブランド「天青」、地ビール「湘南ビール」などを開発。

迷い迷って
たどり着いた道だった

 伝統的な造り酒屋を継ぎ、一見、順風満帆な人生を歩んできたかに思える熊澤だが、じつはそうではない。

 「大学を出てアメリカへ留学している時に、会長の祖父と社長の叔父から、“経営状況が悪く廃業を検討している”という話を聞かされました。唯一の跡取りである僕にはもともと継ぐ気がなかったので、本当はそのまま廃業してしまう予定でした」


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