2024年11月22日(金)

2024年米大統領選挙への道

2022年10月21日

低下する米最高裁の信頼

 ジョージア州連邦議会上院選のTV討論会が、10月14日同州のサバンナで開催された。ウォーカー候補は中絶疑惑を否定したが、ワーノック候補は「私の相手は真実について問題を抱えている」と批判した。さらに、牧師であるワーノック候補は、人工妊娠中絶の権利を覆した米連邦最高裁を「過激主義の最高裁」と非難した上で、中絶に関して「神が私たちに選択を与えてくれた」と述べて、中絶権利擁護(プロチョイス)の立場を主張した。

 米ギャラップ社が全国を対象に実施した世論調査(22年9月29日発表)によれば、米連邦最高裁に対する信頼は47%であり、20年に行った同調査と比較すると、20ポイントも下がった。トランプ前大統領が任命した3人の保守派判事が加わり、最高裁は一般の米国民の意識よりも保守化していると見られている。ワーノック候補は、民主党支持者と無党派層を狙って最高裁を攻撃したのは明らかだ。ただ、ワーノック候補はTV討論会で決定打を浴びせて、ウォーカー候補をノックアウトできなかったもの事実である。

2人の好感度と支持基盤

 2人の候補が対照的であったのは、バイデン大統領とトランプ前大統領の再出馬に関してであった。ワーノック候補はバイデン大統領の24年米大統領選挙出馬について、支持を明言しなかったのに対して、ウォーカー候補はトランプ氏の再出馬支持を表明した。

 雑誌エコノミストと調査会社ユーゴヴの全国を対象にした共同世論調査(22年10月16~18日実施)では、20年米大統領選挙でトランプ氏に投票した67%の有権者が、ウォーカー候補に好感を抱いている。ところが、黒人は26%が「好感を持っている」、39%が「好感を持っていない」と答え、非好感が好感よりも13ポイントも高い。

 一方、同調査ではワーノック候補に対して44%の黒人が「好感を持っている」、14%が「好感を持っていない」と答え、好感が非好感を30ポイントも上回った。ウォーカー候補は白人のトランプ支持者が支持基盤であるのに対して、ワーノック候補は黒人が基盤になっている。ウォーカー候補がトランプ氏再出馬を支持するのは当然である。


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