資源が回復? 秋田のハタハタで誤解している
国民の多くが資源管理の成功例と誤解している例に、秋田のハタハタ漁があります。下の一つ目のグラフは、1970年代以前の大漁時代を切り取ったハタハタの漁獲量推移グラフです。1992年から3年間禁漁したことで漁獲量が増えたという成功例として引用されますが、実態は下のグラフの通り回復どころか悪化しているに過ぎません。
秋田のハタハタ漁は、乱獲で資源が激減してしまい一時的に禁漁したことで、漁獲量が回復したように見えました。しかしながら、解禁後に科学的根拠に基づく数量管理を行なわなかったことで、元の木阿弥になり、現在に至っているのです。
筆者もかつては成功例と誤解させられていましたが、数字を見れば一目瞭然でした。自主管理に起因する残念な結果の一つだったのです。
世界に目を向けてみましょう。日本と米国(アラスカ)とでは、サケの資源管理に関する考え方が異なります。
採卵重視の日本のサケ漁業と、自然産卵を重視しているアラスカでは、漁獲量とその傾向が異なります。今年(2022年)のアラスカ・ブリストル湾でのベニサケ漁は、約14万トンと過去最高を記録しています。本格的に回復しない日本との対照的な違いは、結果からして偶然ではなく資源管理の違いと言えるのです。