2023年12月9日(土)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2022年10月4日

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片野 歩 (かたの・あゆむ)

水産会社社員

東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『日本の水産資源管理』(慶應義塾大学出版会) 『日本の漁業が崩壊する本当の理由』『魚はどこに消えた?』(ともにウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著、『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。

 魚の価格が高くなってきたと感じていないでしょうか? 国内ではサンマ、サケ、スルメイカを始め、かつては1尾、1切、1パイ100円以下で買えていた水産物がどんどん減っています。資源量が激減して漁獲量が大きく減ることで、供給が大幅に減少して、価格上昇につながっているのです。

資源管理をすれば、日本の漁業を救うポテンシャルのあるニシン(筆者撮影)

 また、国産水産物の不足を補ってきた輸入水産物も頼りにならなくなってきています。新型コロナウイルスの影響で2020年は一時的に価格が下がった時期はあったものの、21年にはそれ以前の価格を超えて来ています。輸入数量が減り、輸入金額が増える。つまり輸入単価が上がって来ているのです。これに急速な円安が、さらに輸入水産物の価格を押し上げて行くことになります。

 残念ながら国産、輸入水産物ともに毎年供給が厳しくなって行く環境下です。持続可能な開発目標(SDGs14)(海の豊かさを守ろう)(*リンク)にも明記されていますが、資源量を急いでサステナブルなレベルに回復させる必要があります。

 なお、わが国の為に安く水産物を供給してくれる国など存在しません。世界では水産物の需要が増加し、買い付け競争は激化しています。円安でさらに日本から離れて行くことでしょう。水産資源が枯渇に向かっているわが国の現状に目を背けている状況ではありません。

このような厳しい供給環境下で、日本の水産物の資源量をサステナブルにすることは急務です。そこで、注目したい魚種の1例として北海道のニシンを挙げます。


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