2024年11月22日(金)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2022年10月4日

 近年では、産卵時にニシンの精子で、海が白くなる「群来」という現象が見られるようになってきました。ニシンは禁漁しても、資源が大変動する魚なので、増えないなどと言った意見もあるようです。しかしながら、世界の実例に目を向けると、北海道のニシンが持つポテンシャルの高さが分かります。

北海道でのニシンの産卵による群来

 日本では「乱獲」という言葉を嫌う傾向があります。一方で、ノルウェーや英国、オランダなどの多くの漁業国では、漁獲量や資源量が減少したことを「乱獲」と認識して、問題を先送りせずに水産資源管理を強化し、今日ニシン資源での大繁栄を築いています。

北欧でのニシン資源大復活の2つの例

 ニシンでは大西洋で、V字回復の大成功例が2つあります。まず1つ目は、大西洋・北海のニシン(North Sea Herring)です。下のグラフは、その漁獲推移です。1970年代を境にV字回復し、資源も漁獲量も回復させて現在に至ります。

 北海道で漁獲量が激減してしまった例は、1970年代に資源量が激減してしまった英国やオランダ(現欧州連合(EU))の資源管理に、大きく影響を与えました。ニシン資源量が激減してしまった際に「北海道のニシンのようになっては大変だ」ということになったそうです。そこで数年間実質的に禁漁を実施し、資源量を回復したという話を、当時対応していたオランダの科学者に直接聞いたことがあります。

 皮肉にも、EUが主に漁獲しているニシンはグラフの通り回復し、水産業に貢献し、重要な食糧となっています。

 次に2つ目の例です。春にノルウェー沿岸で産卵する魚群(通称NVG Herring)の、資源回復の成功例です。青の棒グラフ(右メモリ)が資源量、黒の折線グラフ(左メモリ)は、漁獲量の推移を示しています。こちらのケースでは、約20年も漁獲をほとんど行なわずに資源量を復活させています。

(出所)FISKERIDIREKTORATET 写真を拡大

 2つ目のケースでは1970年代に多額の補助金を使い、減船対策を行いました。今ではニシンが増えて補助金はなくなりました。


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