下の写真は、サケの遡上をせき止めて増殖事業を行っている北海道の現場です。期間は8月21日から12月10日頃まで。採卵・受精させて約3000万尾の稚魚を放流しているそうです。
肉眼で多くのサケが見られる光景は圧巻です。 見学している人のほとんどは「サケがたくさん見える!すごい!」といった感想を持ったことでしょう。
しかしながら、資源管理という視点からは別の光景が見えてきます。4年前後を大海で過ごした後に、産卵のために回帰して来たサケたちが、これ以上は遡上できずにせき止められている光景に見えます。サケの回帰量があふれる位の状態なら別ですが、自然産卵を重視するという観点からは、せき止める期間をもっと短くしたり、上流にのぼって産卵できるすき間を作るべきでは? という感想を筆者は持ちました。
人間は自然産卵を妨害してはならない
写真の上部に海が見えます。この川では護岸がされていて、魚の稚魚が隠れるような場所はありません。このような場所で、偶然サケの産卵シーンが観察できました。なぜもっと上流を目指して産卵しようとしないのか?恐らく人間の都合でサケの遡上をさえぎっているのでしょう。ここで生まれた稚魚が生き残れるとは思い難いところです。
日本のサケが減った原因は、海水温の上昇が挙げられています。もちろんその影響はあるものの、実際には、採卵が多過ぎることで自然産卵を減らしてしまい、遡上する環境を破壊してしまっていることが最大原因ではないでしょうか?
世界に目を向けて、その成功例と比較すると改善すべき点がはっきり見えてきます。
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四方を海に囲まれ、好漁場にも恵まれた日本。かつては、世界に冠たる水産大国だった。しかし日本の食卓を彩った魚は不漁が相次いでいる。魚の資源量が減少し続けているからだ。2020年12月、70年ぶりに漁業法が改正され、日本の漁業は「持続可能」を目指すべく舵を切ったかに見える。だが、日本の海が抱える問題は多い。突破口はあるのか。
特集はWedge Online Premiumにてご購入することができます。
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