2024年2月26日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年11月18日

 グローバル・サウス(GS)というのが、地域的な概念ではなく、発展段階や国家理念に基づく国々の括りだとすると、ラックマンが言うように、欧米のみならずインド太平洋の有志国を含むGWも、同じように、理念に基づく集まりと言えるだろう。しかし、このように中露が主導するGSと米国が主導するGWという2つの陣営の対峙という形で国際情勢を説明するのが、米国の同盟国である日本にとって良いかどうかについては、別の問題である。

注目すべきはインドとインドネシア

 まず、将来を考えても、世界のトップクラスの国の間では、一方に日米欧の極が、もう一方には中露の極が存在するのは事実だ。しかし、この構図は既成事実で、問題はその間に位置する重要国が個別の懸案に際してどちらの陣営に「比較的」相対的に近い立ち位置を取るかであり、それによって世界の多数派の流れが決まってくるのであって、それこそが重要な問題なのではないだろうか。

 それでは、それらの国は何処かと言えば、インドとインドネシアである。この2カ国は、将来的に日本を含むグローバス・ウエストの国内総生産(GDP)を超える潜在力を持つ限られた国である。この点はラックマンも認識しており、だからこそ、インド太平洋諸国の重要性を指摘しながらもインドに具体的に触れてず、NATO首脳会議やAUKUSでの協調を指摘する一方でクアッドには触れていないのだろう。

 そして、中露に対抗する上で日本がやるべきことは、この多数派形成に不可欠な国々に対して如何にアピールするかに焦点を当てた対応をすることだろう。それこそ、選択を迫るのではなく、より良いオプションを提示すると言うことである。

 なお、最近、ウクライナ戦争を巡る国連総会での投票行動等を元に、これら諸国をまとめて「第三極」と呼ぶ向きもある。が、去就を明らかにしないこれらの国々は「極」というには、余りにばらばらである。それ以上に、世界の動向を決めるうえで重要な影響を持つ国は限られているのであり、その限られた国にアピールする上でも、十把一絡げにせず、テーラーメード的な対応をすべきである。これこそが、柔軟な「ネットワーク」構築の目指すところであり、だからこそ、インドも乗ってこられるのである。

 今後の課題は、残るインドネシアをどのようなネットワークに巻き込んで行くかであり、その具体化が待たれるところである。

   
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