2024年4月27日(土)

冷泉彰彦の「ニッポンよ、大志を抱け」

2022年11月13日

 だが、そもそも大統領選と比較すると、中間選挙は「どちらかといえば地味なイベント」である。熱心なトランプ派の中には「トランプが登場しない」のであれば、選挙に関心を持たないし、投票にも行かないという「シラけたムード」が広がったかもしれない。「トランプ隠し」が共和党の集票にマイナスとなったかもしれないのである。

 その反対の分析もある。党本部は「隠そう」としたが、結局トランプは「11月14日(後に15日訂正)には大統領選出馬について重大な発表をする」などと発言するなど、メディアで取り上げられて「悪目立ち」していた。つまり、共和党はトランプを隠そうとしたが隠すことが出来ずに、結局は無党派層を呼び込むチャンスを逸したという分析だ。

最大の敗因は共和党の決められない姿勢

 そもそも、トランプの基礎票がかなり目減りしているという指摘もある。2016年に大統領に当選し、20年もバイデンに肉薄した際の集票能力から考えると、現在のトランプの実力は落ちているというのだ。

 例えば、22年2月のプーチン大統領によるウクライナ侵攻以降は、「ロシアとの癒着」が指摘されているトランプは、相当に票を減らしているであろうし、個人及びファミリー企業の脱税疑惑、機密文書を巡る疑惑などスキャンダルには事欠かない。何よりも、21年1月6日の議事堂暴動事件の「黒幕」という疑惑も無視できない。ペンス前副大統領や、長女イヴァンカ氏夫妻との決裂など、人心が離れていることもある。

 いずれにしても、現在の共和党は「依然としてトランプの党」なのか、それとも「明確に脱トランプを志向する党」なのかを決められない中で、なし崩し的に二兎を追うような姿勢で選挙戦に臨んだ。この中途半端な姿勢が、チャンスを活かしきれなかった最大の要因と言えるだろう。

   
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