2022年12月9日(金)

From LA

2022年11月20日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

フォードのピックアップEV、F150ライトニング

 11月17日、オートモビリティ・ロサンゼルス(LAオートショー)が開催された。初日はメディア向けの記者会見が主だが、各メーカーによる試乗会やデモンストレーションも行われた。その中で大きく感じたのは、特にカリフォルニア州において電動化への道はすでに不可逆である、という点だ。

 カリフォルニア州は今年夏に「2035年以降州内でのガソリン車の販売をハイブリッドを含めて禁止する」という法案を発表した。全米では初であり、北東部などを中心に複数の州がこれに追随する意思を表明している。

 同州はこれまでにも米政府が定めた基準よりも厳しい排気ガス制限を課す、など連邦政府や自動車メーカーから数々の訴訟を起こされてきた。今回の法案に関しても、反対勢力が中間選挙と同時に行われた住民投票で是非を問う動きがあってもおかしくなかった。ところが州民は戸惑いながらも法案を比較的すんなりと受け入れた。

 というのも欧州を中心に世界は排気ガスゼロ社会に向かっており、隣国のカナダはすでに欧州と足並みを揃え35年からのガソリン車販売禁止を定めている。世界的に見れば米国、そして日本の方がこの流れに遅れを取っている形だ。米国のメーカーであるゼネラル・モーターズ(GM)、フォード、そしてステランティス(旧クライスラーを含む欧州との合弁会社)も35年以降域内ではガソリン車を生産せず、オール電気自動車(EV)の方針を打ち出しているのだ。

展示された過半がゼロ・エミッション

 今回のオートショーはこの流れを象徴するものだった、と言える。展示された車のほぼ6割がEVもしくはプラグイン・ハイブリッド、燃料電池などのゼロ・エミッション(排気ガズゼロ)の車だった。記者発表を行ったメーカーもほとんどが打ち出したのはEVと燃料電池である。

 例えばステランティスの一部であるフィアットは人気の小型車フィアット500のEVを出し「今後500はガソリン車を提供しない」と語った。フィアットらしくジョルジオ・アルマーニやブルガリなどの高級ブランドとのコラボデザインの車で、テーマは「Reuse 」「Reduce」「Recycle 」とエコを打ち出しながら、デザインなどで比較的高価格帯での販売は可能、という姿勢を見せた。

フィアット500

 さらに今年1月のCESラスベガスで米国デビューを果たしたベトナムの国産EV会社、VinFastは、サウスカロライナ州に工場を建設し米市場で2つのEVモデルを売り出す、という。日本や韓国に先駆けての動きであり、EVという新たなデバイスは既存の自動車メーカーの技術やインフラに頼らずとも発展できる、という例を示した。

VinFast

 韓国もEVラインナップを強化している。23年の北米カー・オブ・ジ・イヤーのファイナリストが発表されたが、現代のジェネシスが乗用車とSUV、起亜がSUVにそれぞれEVでノミネートされた。

 ちなみに日本車は乗用車でホンダのアキュラインテグラ、日産フェアレディZの2台のみ、どちらもガソリン車だ。今回のファイナリスト9台のうち6台までがEVであり、日本車以外のガソリン車はトラックのシボレー・シルバラードのみだった、というのも印象的だった。シルバラードはすでにEVバージョンを発表しており、来年にも発売される。

試乗会でも8割がEV

 ところでオートショーはメーカーにとって新車発表や企業としての方針を打ち出す場であると同時に、顧客にダイレクトに製品を販売するショウケースでもある。そのため多くのメーカーが試乗会を催すのだが、こちらも試乗に供された車の8割以上がEVだった。

日産アリア

 ガソリン車としてはフォードブロンコ(EVであるF150ライトニングピックアップと共に試乗会が開かれた)とステランティスのダッジラムトラックくらいで、あとはオールEVだったのだ。会場の外に設置された試乗コースにずらりと並んだのは起亜、VinFast、シボレーボルト、ジェネシス。日本車で唯一EVの試乗を提供していたのは日産アリアだ。

GMボルト

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