台湾のTSMCや韓国のSK Hynixが時限的な例外を認められているとの報道もある。米国だけでなく、欧州とアジアの企業にとってもあまねく苦痛のようであるが、そのインパクトを見極めようとしている様子である。SK Hynix は投資家に対し、米国の規制によって同社の中国における巨大なメモリー・チップの工場の運転が危険に晒され事業を韓国に回帰させざるを得ない「極端な事態」について緊急計画を策定しつつあると語ったとの報道もある。
注目すべきは中国や台湾の動き
中国がどう出るかの問題もある。中国にこれといった手はないとの見方もあるが、この論説は中国がレアアースや非高性能のチップの輸出規制を行う可能性に言及して、チップ更にはその他枢要な品目のサプライチェーンの強靭化を進めることの必要性を強調している。
過度の中国依存を避けたサプライチェーンに作り直すことは気の遠くなることに違いないが、避けては通れまい。それは正しくインド太平洋経済枠組み(IPEF)で検討されている課題でもある。
なお、台湾はチップ製造業の一大集積地となっており、特にTSMCは高性能チップの製造で支配的地位を確立しているが――TSMCは先端高性能チップの世界の製造能力の92%を占める由――その成功は台湾に集中させた効率的な工場群からすべての市場を顧客として来たことに負っている。
ここに来て、米国は諸外国からの中国への高性能チップの供給も阻止することを目標とする一方で、米国自体の台湾への過度の依存からの脱却を狙うに至っているが、この状況でTSMCがどう動くかは一つの注目点であろう。