2024年4月18日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年11月29日

不動産、少子化、習近平

 第1の根拠は、ロゴフ教授が指摘するように、不動産業界が今後不況に陥る可能性が大きく、経済全体を下押しするのは避けられないと考えられることである。その根本にあるのは、不動産に対する需給バランスが供給過剰になっていることだろう。

 第2の根拠として、中国の人口がますます少子高齢化するという人口構造の変化が起きていることがある。中国の合計特殊出産率は1.7程度であり、少子化は今後も進む。これが経済に与える影響は多岐に及ぶ。

 第3の根拠は、習近平の姿勢である。この状況を乗り越えるためには賢明な経済政策が不可欠であるが、習近平政権は経済より政治重視であり、第20回共産党大会の様子を見ても、次期首相と目される李強は習近平のゼロコロナ政策のために上海で強引なロックダウンを行った人であり、経済政策について大きな期待はできないように思われる。

 経済よりも政治を重視する習近平政権の姿勢は、経済自体からのしっぺ返しを受ける可能性が高い。ロゴフ教授が言うように、経済のスムーズなランディングの可能性が少なくなっていると思われる。中国の輸出もマイナスになってきている。

 以上に加えて、台湾有事のこともありうるので、日本は経済的対中依存をできるだけ低める方向で安全性を求めていくことが必要であろう。

   
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