2022年12月8日(木)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2022年10月12日

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高口康太 (たかぐち・こうた)

ジャーナリスト

1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。中国・南開大学に留学後、ジャーナリストとして活躍。著書に『幸福な監視国家・中国』(共著、NHK出版)など多数。千葉大学客員准教授を兼務。

 女性タレント「こじるり」こと小島瑠璃子の中国留学が注目を集めている。多くのテレビ番組に出演し高い知名度を持つトップ級のバラエティタレントが、レギュラー出演していた番組を降板してまで中国行きを決めた。28歳とまだ若いとはいえ、キャリアを中断するという〝決断〟には驚いた人が多い。

日本のトップタレントである小島瑠璃子が中国への留学を決めたが、現地での人気は?(長田洋平/アフロスポーツ)

 もっとも、中国事情に詳しい人々は「成功するはずがない」「中国を甘く見ているのではないか」と厳しい見方をしている人が多い。若者のチャレンジを応援したいが、客観的に見ると日本の芸能人には厳しい環境であろう。

 それはなぜか? 大きく3つの理由があげられる。

 第一に日中関係の悪化だ。

 近年、中国では愛国主義ムードが高まっており、外国人タレントが活躍できる余地はせばまっているようだ。昨年は靖国神社近くで花見をしていた、乃木神社に参拝したとの理由で中国人俳優が引退に追い込まれた事件があった。

 これだけでもビックリだが、今年はさらに過激化し、「日本的イベントを開催するとは何事か」との理由で夏祭りが禁止された、ダイソーを模倣して中国雑貨チェーンのメイソーが「日本風は間違いでした、改めます」と謝罪するなど、「日本的であること」そのものが中国でリスクになる傾向が強まっている。

 中国のSNSや動画サイトで活躍できる日本芸能人、インフルエンサーも減少しているという。サービス運営企業側が外国色、日本色が強まるのは危険だとしてあまり目立たないようにしているのが原因だ。動画配信を通じて日本製品を中国に宣伝、販売している、ある在日中国人インフルエンサーは「日本人が活躍できないだけではなく、私たち在日中国人のビジネスにも影響が大きい」と頭を抱えていた。

日本式バラエティが存在しない中国

 第二の理由が日中バラエティの性質が水と油のように真反対な点だ。

 日本ではタレントを集めて、そのトークを中心に進行するバラエティ番組が主流である。筆者は先日、ある民放のバラエティ番組に講師役として参加する機会があったが、細かい台本が用意されているわけでもないのに、その場の当意即妙な掛け合いが続くことに驚いた。場の空気を読んでトークをつなげ番組を成立させる、いわば団体芸が日式総芸(中国語で「日本バラエティ」の意)なのだと改めて感じた。

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