2024年11月22日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2022年10月12日

 ところが、中国にはこの手の番組がほとんど存在しない。歌手やダンサーのオーディション番組、あるテーマについて長尺でしゃべる話芸が要求されるトークショーが中心だ。団体芸の日本に対して、個々の実力だけで完結させるのが中国式バラエティである。

 団結精神の日本と個人主義の中国、エンタメ番組からもお国柄の違いが透けて見える。というわけで、日本のバラエティ番組で鍛え上げた実力があったとしても、中国では発揮する舞台がないというわけだ。

こじるりのフォロワーは49人

 数は少ないが、日本のバラエティに近いのが韓国系の流れを組むバラエティ番組だ。韓国の人気バラエティ番組「ランニングマン」は中国でも大ヒット。レギュラーメンバーがゲストとともにゲームをクリアしていくという形式だが、中国国内でもリメイク版が制作された。

 高高度防衛ミサイル(THAAD)ミサイルの韓国配備を受け、2017年に韓国に対する報復行為として韓流アイドルからドラマ、バラエティ番組まで、韓流カルチャーの排斥という報復行為が取られた。それでも一部に韓国式バラエティが残っている。

 その代表格が「奔跑吧」(キープ・ランニング)。もともとは「奔跑吧兄弟」(キープ・ランニング、ブラザー)というタイトルで、韓国からフォーマット権を獲得したリメイク番組だったが、17年以後は現タイトルに改題し、韓国とは無関係の中国独自番組という建て前に変わっている。最初は権利料を払って作っていた番組が、気づけばオリジナル番組に変わっているのはモヤモヤするところだが……。

 それはさておき、韓国のバラエティは日本に近く団体芸の要素が強いが、数が少ないため相当の知名度を持っていないと出演できないことが問題だ。小島は現在、中国ではまったくの無名といっていい。

 中国における著名人の知名度を測るためによく使われるツールに百度指数と貼吧(ティエバ)がある。百度指数は大手検索サイト「百度」(バイドゥ)で日に何回検索されたかを示すサービスだが、小島はあまりに無名過ぎて検出不能という状況だ。

 貼吧は5ちゃんねる風のネット掲示板だが、トピックのフォロワー数で関心を持つユーザーの数を知ることができる。日本の女性タレントの例を挙げると、橋本環奈が5万9252人、指原莉乃が5万3073人のフォロワーを持っている。

 では小島はというと……なんと49人。橋本環奈、指原莉乃の1000分の1しかないのはなんとも切ない。小島本人の資質というよりも映画、ドラマに出演している橋本、元アイドルの指原と比べると、バラエティ1本の小島は中国ではファンを獲得する機会がなかったためだ。

 ちなみに「奔跑吧」のレギュラーであるアンジェラ・ベイビーのフォロワー数は97万3743人。橋本、指原でもまったく歯が立たないのに、ましてや49人では……。韓国式バラエティに出演さえできれば実力を発揮できる機会があるかもしれない。だが、そこまでたどりつくための道のりは果てしなく遠い。


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