2022年9月26日(月)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2022年9月15日

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大西康雄 (おおにし・やすお)

科学技術振興機構特任フェロー

早稲田大学政治経済学部卒業。日本貿易振興機構(JETRO)上海センター所長、JETROアジア経済研究所新領域センター長などを経て、2020年より現職。著書に『習近平「新時代」の中国』(アジア経済研究所)ほか。
 

 2022年第2四半期の中国経済は景気後退局面入りを印象付けるものだった。国内総生産(GDP)成長率は1~6月期では対前年同期比2.5%増だったが、第2四半期では同0.5%増にとどまり、多くの経済指標が反転できずにいる。特に経済成長の柱である消費需要の状況は、7月になっても芳しくなく景気の下押し要因となっている。各産業の業績も不振であるが、中でも看過できないのが、不動産業である。

(Vera Tikhonova/gettyimages)

不調続く不動産市場と中国経済への影響

 まず、不動産市場の現状をみよう。1~7月の分譲住宅販売面積は7億8178万平方メートルで対前年同期比23.1%減、販売額7兆5763億元(同28.8%減)であった。結果、分譲住宅在庫面積は5億4655平方メートル(同7.5%増)と積みあがっている。

 さらに内訳をみると、面積は、分譲住宅が27.1%減、オフィスビル9.7%増、販売額は、分譲住宅31.4%減、オフィスビル3.1%増である。ビジネス需要は持ち直し傾向を見せている。

 今後の市場に影響する投資の動向はどうか。1~7月の不動産開発投資は7兆9462億元(同6.4%減)で、うち住宅は6兆238億元(5.8%減)、オフィスビルは3035億元(10.3%減)であった。前述したようにビジネス需要が持ち直したとしても、太宗を占める住宅需要は依然として不振である。

 経済全体では、1~7月の都市固定資産投資は31兆9812億元(同5.7%増)、うち不動産投資のシェアは21%であった。2020年統計では同シェアは27%に達しており、その地位の重要さが見て取れよう。

 不動産業の影響は、投資面にとどまらない。第1には、不動産業の関連する裾野が広いことがある。中国に限ったことではないが、建設業、建材工業、さらには不動産販売業、関連サービス業などを通じた影響がある。これらの産業を含めるとGDPに占めるシェアは29%に達するとの研究もある。

 第2に、雇用の動向を左右する点である。直接に関係する建築業の雇用者数だけで20年に2153万人、全就業者数の12.6%を占めていた。しかもこれは年間平均であり、建設の動向によって数百万人単位で変動することが知られており、大きな景気変動要因である。

 そして、第3に、これが最大であり、中国特有の問題なのだが、不動産業と地方財政に強いリンケージが存在することがある。

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