2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年6月14日

 Sheila A. Smith米外交問題評議会上席研究員は、4月のCFR(米外交問題評議会)のサイトで、東シナ海における日中間衝突のあり得べき事態を想定・分析し、米国政府がとるべき方策について提言しています。

 すなわち、まず、米国としては、尖閣諸島が日米安保条約の適用対象であるとの長年の立場を今後も引き続き表明する必要がある。そして、米国としては中国とは経済、政治、戦略上広範な利害関係を有しているので、日中双方が平和裏に紛争を解決することが、米国の利益に合致する。さらに、尖閣諸島をめぐる問題において、米国が如何なる対応をするかは、今後の日米同盟関係の将来を決定するばかりか、アジア太平洋の他の同盟国との関係をも決定づけるほど重要であり、関係各国は米国の行動を注視している。具体的提言としては、次のようなものが挙げられる。

 1)もし中国が武力を行使して尖閣諸島の問題を解決しようとするならば、米国としては、一貫して、日本の防衛という条約上の義務を負っていることを繰り返し表明する必要がある。

 2)中国と日本が紛争の平和的解決を求めるよう、双方に働きかける。中国に対しては、一方的行動は、尖閣が日本の施政権下にあるという米国の認識を変えることはない旨知らせる。米国としては、紛争解決のために武力を行使することを厳しく非難する。

 3)米国は、日中双方に対し、尖閣諸島において、あるいはその周辺で緊張を高めるような措置を取らないよう働きかける。日本に対しては、中国が島嶼を武力で奪い取ろうとしない限り、島嶼に人を居住させたり、兵力を配備したりすることを避けるよう勧める。中国に対しては、日本とハイレベルの海洋協議 を再開するよう勧める。

 4)米国としては、透明性を高め、信頼醸成のメカニズムを作るよう中国に働きかける。中国は、既存の海洋協力を広げ、環太平洋の軍事演習、海上保安行動、救助活動などに協力すべきである。

 5)もし中国が日本に対して武力行使をするならば、米国としては日本に全面的に軍事的支援を行えるように準備しておく必要がある。


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