過去の地震とこれからの地震
地震を周期的な地殻変動とすれば、これまで地震が発生した地域は地震が再発する可能性が長期的には高いと考えることができる。しかし、現在の日本で最も心配されている地震の1つとしては、首都圏から九州東岸の太平洋地域までで発生が心配される、南関東直下(首都圏直下)、あるいは東海・東南海・南海(南海トラフ)地震が挙げられるであろう。100年から200年という非常に周期の長い地震の場合は、「最近起こっていないこと」が今後も地震が起こりにくいことを表すとは限らない。
すなわち、「これから起こる」ことが心配される地震はどうなっているのかということも重要である。そこで、以下では、今後起こりうる地震についての地域的な情報を見てみることとしたい。
図3は、政府の地震調査研究推進本部が発表した、2020年から30年間が経過する間に、全国各地で震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を地図に表したものである。これを見ると太平洋岸で大きな地震の確率が高く予想されていることがわかる。しかし、同じ太平洋岸で地震の発生が多かった図1と比べてみるといくつかの違いが見られる。
過去1年間の地震のいわば「実績」を表したマップでは、東北地方、九州地方でも地震が比較的大きく描かれているが、今後の予想を表す図3では、東北・九州地方よりも圧倒的に関東から四国地方の太平洋岸での確率が高く描かれている。
図3の状況をより具体的にイメージするため、各都道府県の県庁所在地等での市役所等を基準にとった震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を表1で確率順に並べた。
表1の内容を吟味する前に、この表の見方を確認しておく。これらの表で示されている確率は、震度6弱の「地震が発生する」確率ではなく、「揺れに見舞われる確率」である。
地震の発生により社会に被害を及ぼす揺れは、発生した地震の大きさ、震源と居住地との距離、住んでいる土地の地盤、そして建物被害の場合は建物の構造や耐震の度合いなどさまざまな要素によって影響を受ける。そこで、表では市役所等の存在する位置において、結果として見舞われる震度が6弱以上になるケースが今後30年間に1回以上起こる確率として示されている。つまり、震度6弱を超過して、震度6強、震度7も起こる確率を含んでいることを示すため、「超過確率」という表現になっている。