6月7日付米National Interest誌で、Peter Mattis米ジェームスタウン基金China Brief編集員は、中国は、「新しい大国関係」なるものを主張しているが、その内容は、従来の主張を繰り返し、米国側に譲歩を求めるばかりで、中国側の態度を改善する意図は全くない、と述べています。
すなわち、「新しい大国関係」とは、新興大国と既存大国との関係を如何にするかということに対して答えを与えようとしているかのように見えるが、それは冷戦時代の平和共存の焼き直しであり、中国は従来の態度を変えようとしてはいない。
6月に、当時の外務次官崔天凱、Cui Tiankai(現在の駐米大使)は、新しい大国関係について、それは相互利益を基礎とし、密接な通商関係の上に立ち、各種交流を制度化し、国際的な協調と協力を拡大することにある、と説明した。
そして、それを達成するためには、米国側の態度の変化が必要であると言う。中国は米国の問題に干渉しないのに、米国は中国の核心的利益に介入しているが、米国は、台湾問題、人権問題等に対する政策を変え、軍事関連技術についての米国の輸出規制を緩和すべきである、と言っている。
習近平が国家主席として最初に外国訪問したモスクワにおける演説でも、彼は、新しい国際関係について触れているが、それは従来からの中国の外交原則の繰り返しにすぎなかった。
6月3日付け人民日報は、世界は多極化しつつあり、国際関係を民主化するためには、主権の絶対性を再確認しなければならない、と言っている。このような原則は、主権平等、内政不干渉、平和共存を謳った1954年の平和共存五原則以来の中国の外交原則の継続である。
しかし、実際は、中国はどの主要国よりも、武力に訴える傾向がある。現在でも東アジア、東南アジアでは、武力を使用する傾向がある、と述べています。
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「新しい大国関係」は、米中関係を律する新たな原則として、今後も中国側が主張し続けることとなるでしょうが、具体的な新しい内容は全くありません。