4月6日付の米政治専門サイト「ポリティコ」に、同誌シニア特派員のコールカットら4人が連名で論説を寄せ、4月5日からの訪中で、中国は、フランスのマクロン大統領は厚遇し、ファンデアライエン欧州連合(EU)委員長は冷遇し、あからさまに欧州の分断を図ったと述べている。
それは二つの訪中だった。中国は、マクロンとフォンデアライエンを「分割統治」しようとした。マクロンの日程は満杯、フォンデアライエンの日程はスカスカだった。マクロンが4月6日の夜、習近平との華美な国賓晩餐に出席した時、フォンデアライエンはEU代表部で味気のない記者会見をしていた。中国国営メディアが中仏友好を打ち上げていた時、中国のSNSは、フォンデアライエンを米国の傀儡だと悪魔扱いしていた。
マクロンがフォンデアライエンに訪中参加を求めたのは、欧州結束のためだったが、結果はそれどころではなかった。
台湾について、マクロンは提起するつもりはないことを強調していた。しかしフォンデアライエンは習近平に、「現状を武力で一方的に変更すべきではない」と述べた。
マクロンは、習近平との 90分の会談の中で、ウクライナ戦争終結のため対露影響力の行使を求めたが、具体的成果はなかった。習近平はゼレンスキーに電話をすることには同意したが、何時そうするかは明らかでない。
習近平と6~7時間を一緒に過ごすマクロンは、注目されることを楽しんでいる。マクロンは、「習近平がこれ程自分に時間を割いてくれることは、仏が他の国とは違うことを示している」と記者団に述べた。中国が実際にマクロンの求めに応じ、国際責任を果たし、ウクライナ戦争を終結するようロシアに求めるのかどうかは、分からない。
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この記事は、中国はマクロンを厚遇し、フォンデアライエンを冷遇し、欧州をあからさまに分断しようとした、一貫してフォンデアライエンを格下の指導者として扱ったと種々の待遇差別を指摘する。
マクロンの訪中は国賓だったとはいえ、ここまで意図的に差別するのかと中国の異質さに驚く。英BBCは、中国はマクロンを「良い警察官」、フォンデアライエンを「悪い警察官」に仕立て上げたと報道した。3月30 日の彼女の講演は、勇気ある、良い講演だった。しかし中国はこれに反発し、彼女を冷遇した。結果として欧州は、中国により分断され、悪用された。マクロンはもう少し彼女を守るべきだった。
フォンデアライエンは、習近平、マクロンとの三者首脳会談の他、6日に習近平との二者会談をし、李強とも会談した。習近平とは、「台湾問題で応酬となった」ようだ。フォンデアライエンは、会談後、記者団に対し、「現状を武力で一方的に変更するべきではない」と強調したと説明した。中国国営メディアは、習近平は会談で「台湾問題で中国に妥協や譲歩を期待するなら、それは妄想に過ぎない。人に損害を与えようとしても自業自得の結果となるだろう」と述べたという。脅迫的である。