ひとまず妥協は成立したが
EUは共通通商政策を取っている。ポーランド等が単独でウクライナ産農産物の輸入を禁止したことに関し、欧州委員会は憂慮を示した。
EUと一連の中東欧諸国は、どうにか4月28日までに、本件に関する妥協に達した。これらの国が自国へのウクライナ産農産物の流入をブロックすることは容認するものの、同諸国はウクライナ産農産物を然るべく通過させ、他のEU諸国に輸出できるようにするという合意が成立した。また、中東欧諸国には1億ユーロの支援金が提供されることとなった。
同時に、EU諸国は4月28日、ウクライナ産品に対するすべての関税および関税割当の免除を、さらに1年間継続することも決定した。
それにつけても、今回の騒動にしても、そもそもロシアがウクライナを侵略し、その後も食料を武器に駆け引きなどしなければ、起こらなかった問題だ。侵攻前は、ウクライナの穀物輸出の99%、ひまわり油輸出の91%が、海運によるものと言われていた。それが、黒海穀物イニシアティブでかなり復活したとはいえ、同プロジェクトではロシアが意図的に荷物検査を遅らせているとされ、海上輸送がフル稼働するには至っていない。そこで輸送し切れない分が、ポーランドなどの中東欧諸国に溢れた形であり、同諸国を責めるのは酷である。
今回のウクライナ産農産物輸入禁止をもって、中東欧諸国や、ましてやEUのウクライナ支援疲れなどと決め付けるのは、不適切であろう。現時点では、ウクライナと連帯するEUの姿勢に、揺らぎは見られない。ただ、ロシアによる侵略が長引けば、その「とばっちり」で、今回のような騒動が増えていくことが懸念される。
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