マイナンバーと年金や給付金などを受け取るための預貯金口座(公金受取口座)として別人の口座が登録されるミスは相当に多数あった。子どもの公金受け取り口座として、親の口座を登録していたミスが特に多かった。
マイナンバーカードには氏名のカタカナ読みが登録されていない。銀行口座にはそれがある。マイナンバーカードのデザインを変えるときには、この点も改善すべきだ。
一方、戸籍の電子化が進み始めていて、それとのリンクでマイナバーカードの利便性が増している。相続のときに原戸籍の取り寄せ等ともリンクできるとさらに利便性が増す。
また、災害の際に、避難指示を出した対象地域の対象者数の把握や避難所に入った人のリスト作成等がアナログで行われているが、これらの管理をマイナンバーカードを活用すれば安否確認や救助活動が確実に実施できる。マイナンバーカードは無限の可能性をもっている。
e-taxの普及に学べ
国税申告のオンライン化「e-tax(イータックス)」が導入されたのは04年度である。特段のインセンティブが与えられた覚えはないが、利用者は増え続け21年度における個人確定申告の利用率(確定申告をする人のうちのオンライン利用率)は59・4%、1529万件に達している。
これは、税率の計算等が自動的にされる、昨年の記載を利用できる、領収書等の帳票を提出しないでよい、など利用者にとって相当の利便性があるからである。e-taxも小さなトラブルがなかったわけではなく、毎年改善されて今日定着するに至った。マイナンバーカードについても、国民がその利便性を実感できる制度に改善していくことが重要である。