2023年12月6日(水)

都市vs地方 

2023年7月11日

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青山 佾 (あおやま・やすし)

明治大学名誉教授

1943年生まれ。67年東京都庁経済局に入庁。高齢福祉部長、計画部長、政策報道室理事を歴任。99~2003年に石原慎太郎知事のもとで副知事。専門は自治体政策、都市政策、危機管理、日本史人物伝。『東京都知事列伝 巨大自治体のトップは、何を創り、壊してきたのか』(2020年、時事通信出版局)、『世界の街角から東京を考える』(2014年、藤原書店)など。

 マイナンバーカードをめぐるトラブルが相次いでいる。政府はかなりの経費を使って総点検を実施しているが、事態はもぐら叩きのような様相を呈している。まだこれからもミスや不具合がでてくるからマイナンバーカードの使用を一時停止すべきだという意見やマイナンバーカード返上の動きもある。

(Tomasz Śmigla/studio marble/gettyimages)

 しかし各種証明書の交付等、ミスはあっても大勢としてはすでにそれなりに便利に使われているのだから使用停止は現実的ではない。これからもシステムエラーやヒューマンエラーは見つかるだろうが、その都度是正していくほかはない。数年後に予定されているカードのデザイン変更までに、あるいはさらに数年先にでも、国民だれもが使いやすく便利なカードの実現へ議論すべきだ。

ミスは是正できる

 カード交付のミスは自治体窓口職員の責任ではない。政府が交付促進を煽りすぎたために窓口が大混雑したのは報道の通りである。

 筆者は昔、都庁の旅券交付窓口の応援に駆り出されたことがあったが、長い行列ができると素早い交付が優先順位として高くなる。そういうときに同性同名で顔も似通った別人がいてヒヤリとしたことがあるが、そのときは生年月日等の確認を念入りに行って事なきを得た。

 これから受け取りが一時期に集中するような無理なインセンティブを政府が導入することはないと思うから、交付ミスの問題が深刻化することはないだろう。自治体の窓口にある共用端末でマイナポイントが他人に付与された問題は、ログアウトの確認ミスが原因で、現場のミスというよりマニュアルの不備である。皮肉にも大きく報道されたことによりこうしたミスはなくなるだろう。

 コンビニで住民票の写しや印鑑登録、戸籍の写し等を受け取ることができるのはマイナンバーカードのメリットである。これが別人のものが出てきた事例が相次いだが、これはシステム会社のエラーであったことが判明し、解決済みである。


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