2024年11月22日(金)

勝負の分かれ目

2023年7月24日

早速の登板も浴びた〝洗礼〟

 移籍後最初の登板はチーム合流初日の7月21日に早くもやって来た。しかも相手はア・リーグ東地区首位を争うタンパベイ・レイズ。そのマウンドも敵地トロピカーナ・フィールドだった。

 背番号「14」の真新しいユニホームを身にまとい、2点ビハインドの7回からマウンドへ。しかし初球、99.4マイル(約159キロ)の外角高目フォーシームをホセ・シリにいきなり左翼スタンドへソロ本塁打を叩き込まれた。シリは8番打者だが、それまで19本塁打を叩き出していた強打者。藤浪としては新天地の初マウンドで登板早々から緊迫度の違う首位攻防戦の洗礼を浴びせられる格好となった。

 しかしその後は持ち直し、9番のクリスティアン・ベタンコートは三ゴロ、1番のヤンディ・ディアスは遊ゴロ、そして2番のワンダー・フランコは94マイル(約151キロ)のスプリットで空振り三振を奪い、出塁を許さなかった。12球中、ストライクは9球で制球は安定し、この時点で12試合連続無四球。最速は101.5マイル(約163.4キロ)を計測し、オリオールズのブランドン・ハイド監督からも「一発こそ浴びたが、力強いボールを投げていたし、評価に値するマウンドだった」と太鼓判を押されていた。

 驚くべきことに藤浪は翌22日の次戦でも同じレイズを相手に敵地で連投。しかも、この日は前日とは打って変わって4番手で2点リードの8回を託された。必勝を期す継投の中に組み込まれたのだ。

 だが、先頭打者の2人に連続四球を与え、さらに暴投で無死二、三塁のピンチ。ここで2番・フランコの二ゴロの間に1点を失い、なおも一死三塁とされたものの3番のハロルド・ラミレスは内角へ投じた94マイル(約151.2キロ)のスプリットで空振り三振を奪う。しかし次打者の4番ランディ・アロザレーナにはショートへのタイムリー内野安打を浴び、同点に追い付かれると、ここで降板となった。

現地メディアと監督の評価は

 1イニングを投げ切ることができず、3分の2回を1安打2四球2失点。しかし現地発の米メディアからも指摘されていた通り、この日の藤浪の投球にはかなり不運も重なっていた。

 8回先頭で代打のマヌエル・マーゴーにはカウント3ボール1ストライクから投じた99.6マイル(約161キロ)のフォーシームがボール判定されて四球となったが、この1球についてボルチモアの地元放送局「MESN」は9分割されたストライクゾーンと照らし合わせ「明らかなストライク」と検証し〝疑惑の判定〟であったことを試合中継中に訴えている。また、2点目を失ったアロザレーナのショート内野安打についても自軍遊撃手のホルヘ・マテオが捕球態勢に入ったところで打球がイレギュラーしており、同局は「これらが重なることがなければ、フジナミの結果は好転していただろう。むしろ2失点でよくしのいだ」と評している。

 この試合後のハイド監督も「前日の初登板の内容をみれば、あの場面で投げるのはフジ(藤浪)が適任だった。最初に2四球を与えながらも、よく持ち直したと思う」と、それなりの評価を与えていた。


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