2024年4月16日(火)

World Energy Watch

2023年9月6日

トリガー条項は発動すべきか

 ガソリン価格に税金が含まれていることは周知の事実だろう。1L当たり185円のガソリン価格の内訳は図-3の通りだ。地方税を含め揮発油税(ガソリン税)の内訳は、本則税と上乗せ分(特例税)に分かれている。

 1974年からの上乗せ分は暫定措置とされていたが、10年に租税特別措置法が改正され当分の間、特例税として維持されることになった。ただし、平均ガソリン価格が3カ月連続して160円を超えた際には、特例税分25.1円の適用を中止することも定められた。ガソリン価格が3カ月連続130円を下回れば特例税が再度適用される。

 160円を引き金として適用される「トリガー条項」だが、東日本大震災の復興財源確保のため、「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」によりトリガー条項は凍結されている。

 今回、マスコミからはトリガー条項を発動すべきとの主張もあったが、政府は法改正が必要なこと、発動により買い控えが起きるなどの理由を挙げ発動しなかった。

 ガソリンのような必需品は、価格弾性値(価格変動が需要に与える影響)が低く、買い控えが起きるとは思えないとの批判も浴びた。

ガソリン価格の生活への影響

 今年7月の全国の消費者物価指数(CPI)の構成比に占めるエネルギーの比率は、7.12%。内訳は、電気料金3.41%、都市ガス0.94%、プロパンガス0.57%、灯油0.38%。ガソリンは1.82%だ。

 これに対し、今年7月の米国のCPIに占めるエネルギーの構成比率は6.95%。うち自動車用燃料は3.50%だ。欧州連合(EU)の23年の構成比では、エネルギーの比率は10.8%。ガソリンとディーゼルで4.16%。ドイツは4.15%、フランス3.86%だ(図-4)。

 日本との比較では、米国も欧州諸国もガソリン価格が生活に与える影響が大きいが、米国と欧州ではその理由は異なっている。

 米国のガソリン価格は2000年ごろまで1ドルだった。1L当たりではなく、1ガロン当たりで表示されているので約3.8L当たりの価格だ。エネルギー危機の影響により一時全米平均価格が5ドルを超えたが、今は約3.8ドル。日本円で1L当たり145円程度だ(図-5)。

 電気、都市ガスなどのエネルギー価格が極めて安いことに加え、米国では公共交通機関が少なく、州間の高速道路が原則無料なので車の利用が多く、ガソリン価格が生活に与える影響も大きくなる。

 製油所の数が少ないカリフォルニア州などの西部のガソリン価格は、製油所が多いメキシコ湾岸と比較すると高くなる。8月28日の全米平均価格3.81ドルに対し、メキシコ湾岸地区3.38ドル、西部4.88ドルだ。西部の価格は日本と変わらない。

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