2024年4月16日(火)

World Energy Watch

2023年9月6日

 欧州の事情は異なる。8月28日現在のユーロ通貨圏の加重平均ガソリン価格は、1L当たり1.89ユーロ。300円に近い。欧州ではガソリンに課せられる税率が高く、ガソリン価格が高いのだ。

日本より税率が高い欧州

 欧州、米国で販売されているレギュラーガソリンのオクタン価は、日本のレギュラーとハイオクガソリンの中間になる。品質は多少異なるにせよ、EU27カ国全ての国でガソリン価格は日本よりも高い。

 日本のガソリン価格に占める税の割合は現時点で4割程度だが、EU27カ国の半分以上の国のガソリン価格は5割以上の税を含んでいる。EU内で最もガソリン価格が安いブルガリアでも税比率が44%を占め、1L当たり価格は1.31ユーロ。200円を超えている。

 米国のガソリン価格は、先進国の中では最安値と言ってよいが、その理由は税制度にある。連邦税と州税を合わせても、7月の販売価格の14%を占めるのみだ(図-6)。

 日本のガソリン価格が先進国の中で特に高いということではないし、生活に与える影響も平均的には、欧米ほど高くはない。日本で補助金は必要なのだろうか。

ガソリン価格への補助は必要なのか

 ロシアのウクライナ侵略により、欧州では21年後半から上昇を始めていた化石燃料価格は22年後半に急騰し、電気、都市ガス、ガソリン全てのエネルギー価格の上昇を招いた。結果、ユーロ圏のインフレ率は2桁に達した(図-7)。多くの国が電気料金、都市ガス料金の抑制策を導入した。

 フランス、ドイツなどはガソリン価格への支援も導入したが、短期間の支援に限定され、また同時に所得制限を設け、低所得者も支援した。

 例えば、フランスは化石燃料価格が大きく上昇した22年9月に、ガソリン価格に1L当たり30ユーロセントの補助金を2カ月限定で導入した。その後、30セントの補助金は、11月中旬まで延長され、さらに10 セントに減額の上12月末まで適用された。

 フランス政府は、同時に所得制限を設けた上で、しばしば現金、クーポンも給付し、低所得層への支援が大きくなるように配慮した。ドイツは電気料金については補助額を使用量の8割までとしている。節電目的に加え、所得、使用量も考慮した結果だろう。

 ガソリン価格への一律支援は、富裕層に相対的に大きな恩恵を与えるとの根強い批判がある。都内の高級住宅地ではメルセデスベンツあるいはポルシェの大型SUVをよく見かける。

 新車価格が1000万円を超えるポルシェ・カイエンの燃費は、1L当たり5、6キロメートル(km)。燃費が悪い大型車を保有する富裕層が相対的に大きな補助額を受け取る制度は正しいのだろうか。


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