そして、第1次選考を通過。第2次選考のネットの面接に臨んだ。ここでも、ほたるは美晴になり替わったように面接官の質問に答える。
ダンスの経験もないのに、美晴の経験談の受け売りでダンスの魅力は「自分が自分じゃなくなる感覚が好きです。人前で踊るなんてありえないのに、スポットライトを浴びると自分が求められて曲も振り付けも自分の一部になります」と。
倉悠吾とのこころよい〝ぶつかり合い〟
第2次選考の合格通知がメールで送られてきて、ほたるは迷い始める。自分のことをエントリーシートに書いたり、ネットの面接で話したりしたのではないので、辞退しようかとまで気持ちが追い詰められる。
友人の長野慎吾(倉悠吾)がそんなほたるを気遣う。慎吾は演劇部、就職をあきらめて留年することを決めている。マッチング・アプリにはまっていて、自分の写真や趣味などを相手の気を引くように変えている。
ほたる(蒔田)は、美晴(髙石)がなんかに迷ったときは、カレーをたくさん作って毎日食べてなくなるまでに決断するという話を聞いて、自分もやっている最中である。
慎吾(倉)はほたるに「志望動機は自分の考えやからいいんじゃないか?」
ほたる(蒔田)は「そんなんは拒絶、絶交やないの。人間としてはそういうレベル」
慎吾は「俺だって(マッチング・アプリ)の趣味が古着屋巡りって……」
「(エントリーシートに書き、面接で答えた)ダンスはどうすんの?」と聞く慎吾にほたるは「正論で殺そうとしてる?」
掛け合い漫才の調子ではあるが、神戸弁はどこかゆったりとしている。若者のぶつかり合いもこころよい響きがする。もちろん、蒔田と倉の演技力に負っている。
脇役陣のセリスと間も物語をメランコリックにする。
ほたる(蒔田)と慎吾(倉)は、ほたるの部屋で飲もうとしていたコーラを誤って何度も強く降ったために口を開けて、ふたりともTシャツにシミを作ってしまう。そのとき、部屋にカレーでシミをつくった美晴が現れる。