2024年6月20日(木)

田部康喜のTV読本

2023年9月7日

 3人は近くでクリーニングを営む東聡美(あずま・さとみ、市川実日子)のもとに閉店間際に駆け込む。聡美の手ほどきを受けながら3人はシミ落としにかかる。

 聡美はいう。「人はなぜシャツのしみを消そうとするんでしょうね。起きてしまったことをなかったことにするのにそこまで必死なんでしょう。なぜ、真っ白にしていると安心するんでしょ。そのおかげでわたしはご飯を食べられるんだけれど」

 ほたるは最終面接を受けるために、東京に向かうことを決心する。自分を思いやってくれる慎吾のことを思い出しながら。

 「心配してくれる人がいるとき、それなりの反省をしなければならない。わたしは決めた。過去をなかったものにしない」

天性のものと言える自然な演技

 蒔田は筆者の推しの女優のひとりである。将来大女優になると信じている。彼女についてのこんなエピソードが好きだ。

 「朝が来る」の河瀬直美監督が是枝監督のもとを訪れて、彼女の出演の許しを願った。蒔田の役は中学生で妊娠し出産して里親にだした男の子を訪ねていく。河瀬監督が驚いたのは、蒔田の台本を見たときになんの書き込みもなかったことだった。事前に何度も読み込んでセリフが体に入っていたのである。

 蒔田の演技はあまりにも自然なので、演技していることを感じさせない。夜ドラをきっかとして、蒔田という女優を知って欲しいと思う。8週間で全32話の連続ものである。ドラマの展開に追いつけるように週末にはダイジェスト版もある。(文中敬称略)

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