2024年12月22日(日)

Wedge2023年8月号特集(少子化対策 )

2023年10月1日

人口減少社会は日本だけでなく、諸外国にとっても喫緊の課題だ。フランスと中国の〝現在地〟を垣間見ながら、日本への示唆を読み解こう。「Wedge」2023年8月号に掲載されている「日本の少子化対策  異次元よりも「本音」の議論を」記事の内容を一部、限定公開いたします。

 近年、中国の出生人口は日本の数倍のスピードで激減を続け、2022年は956万人、総人口は前年比で85万人の減少となった。中国はついに長期的な人口減少時代に入った可能性が高い。国連のデータによれば、全国の合計特殊出生率は21年に1.16まで激減し、既に日本(1.30)を上回る「超少子化」が急速に進行している。

 中国中央テレビ(CCTV)の分析では、これらの原因に(一人っ子時代の女児の中絶による)出産ピーク世代の女性(20~34歳)人口の減少、出産観念の変化、結婚・出産の先延ばしなどによる出産低下、さらには住宅、教育、就職など社会的コスト要因による懸念の増加などを挙げている。

 結婚数の激減と離婚の急増も大きな要因だ。結婚率(初婚)自体はまだ日本(22年、4.20%)よりも高く21年は5.22%だったが、減少スピードは非常に速い。初婚人数でみれば、13年の2386万人から21年には1158万人と日本が1972年から約30年かけて経験した「半減」をわずか8年で達成してしまった。さらに、離婚率も日本(2022年、1.57%)をはるかに上回り、4.35%まで上昇している。中国社会は日本人の想像を超えるスピードで変化している。

(イラストレーション・藤田 翔)

 なぜ人々は急速に結婚や出産から遠ざかっているのだろうか。結婚と子育てをめぐる市井の声を聞いてみよう。


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