潜水艦の建造、米国からの武器購入の増大もあって、台湾では国防費を急増させており、19年の3800億台湾ドルから24年には6600億円に膨れ上がる見通しだ。
黙っていない中国
「自主国防」に舵を切りつつある台湾に対して、中国はかねてから「警告」を発してきた。
「いわゆる『国産潜水艦』計画は台湾独立分子が自滅を招く火遊びだ」「関係国は台湾の潜水艦計画への参加をするべきではない」
そして、式典の日にも当然黙っていなかった。
外交部報道官は「中国と台湾の対立を生み出し、台湾海峡の平和を破壊する」「民進党は台湾の独立と分裂の立場を堅持している」「台湾の人々の血と汗による金を湯水のように武器購入に使っている」 と批判し、国防部も「身の程知らずの台湾当局がどれだけ武器をつくり、購入しても、祖国統一は阻めない」と警告した。
中国は6隻の原子力潜水艦を含めて60隻の潜水艦を有し戦力差はなお大きい。台湾側は「われわれは自分たちからは挑発しない。自己の海域を守るだけである」としているが、第一列島線を越えて自由に太平洋側に中国の海軍が出入りする状況を食い止める一助になる。もちろん中国も対抗策を講じるだろう。台湾海峡情勢をめぐる軍事的緊張は今後も高まることは間違いない。
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