特攻機の桜花も展示
この博物館には、他にも旧ソ連製、英国製、フランス製、なんと日本製まである。日本とかかわるソ連機といえば、ミグ25戦闘機だろう。
1976年、日本の防空網を突破し、函館空港に着陸してきた。パイロットのベレンコ中尉は、亡命を希望した。インド空軍博物館には、インド空軍のものであるが、ミグ25戦闘機が展示されている。
日本製のものは、特攻機である桜花。ちなみに桜花の説明には、人が操縦するミサイルで、34隻撃沈し、228隻の米艦艇に損害を与えた、と、淡々と書いてある。日本の過去を悪く言わないインドらしい書き方といえる。このほかにも、航空自衛隊も配備したのと同型機の英国製戦闘機ヴァンパイアなども展示されている。
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国産技術に対する厳しい評価
博物館ではもう一つ目玉がある。国産の航空機の展示だ。特にインド初の国産戦闘機となったマルートが展示されている。
マルートは、1971年の印パ戦争の際、パキスタンの戦車部隊が大規模にインドに侵入した、いわゆる「ロンゲワラの戦い」において、英国製のハンター戦闘機と共に、パキスタンの戦車部隊を完膚なきまでに叩き潰したことで知られている。逃げ惑う多数の戦車のキャタピラで、地面に多数の円が描かれた写真は、グロテスクだが見ものだ。博物館の展示は、このマルート戦闘機、ハンター戦闘機と、実際に破壊された戦車を展示している。