2024年11月22日(金)

インドから見た世界のリアル

2023年10月12日

 インド製のミサイル防衛システムもイスラエル製のレーダーを使うもので、イスラエルとUAEもミサイル防衛で協力しており、その3カ国すべてが米国の武器を使う国になっている点でも共通である。だから、I2U2は、QUADと同じで、表向きは技術・経済協力だが、実際には安全保障協力であり、UAEとの協力の先にサウジアラビアとの協力も念頭に置いた布石にもなっているのである。

 さらに、I2U2の先に新たな経済構想も出てきた。今年の主要20カ国・地域(G20)首脳会談の際には、インド―中東―欧州―米国という地域を結んだ「インド・欧州・中東経済回廊」の覚書に署名した。

 署名した国には、インド、米国、欧州連合(EU)、UAE、サウジアラビアが含まれている。中国のインフラ事業である「一帯一路」構想に対抗する側面と、米国が中東で担ってきた役割を分担させるものである。

対抗する中国とイラン、そしてハマス

 面白くないのは、中国とイラン、そしてハマスだ。米国が欧州や中東から戦力を持ってきて中国包囲網を強化するならば、中国は阻止したい。その鍵はイランとサウジアラビアの国交を正常化させることだ。

 イランとサウジアラビアの国交が正常化してしまえば、対イラン包囲網のために、イスラエルとサウジアラビアが手を組むことはない。中国は今春、これに成功した。

 イランも面白くない。イスラエルとサウジアラビアが手を組んでイラン包囲網を築くのを防がなくてはならない。

 防ぐ手段の一つは、イスラエルとパレスチナの戦いを起こし、これをユダヤ教徒対イスラム教徒、という構図にすることだ。そうすれば、ユダヤ教徒の国であるイスラエルと、イスラム教徒の国であるサウジアラビアが手を結ぶ雰囲気でなくなる。

 ハマスも面白くない。イスラエルとUAEの国交が正常化してしまい、次第に、他のイスラム諸国がイスラエルを和解するにしたがって、パレスチナ問題は、イスラム諸国の間で優先順位を下げられつつある。イスラエルとサウジアラビアまでが国交を正常化してしまったら大変だ。ハマスは、イスラエルとサウジアラビアの国交正常化を妨害したいのである。


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