2024年5月19日(日)

#財政危機と闘います

2023年11月6日

 筆者は、インフレになっても政府や政治家がデフレと言い続けるのにはもしかしたらもっと深刻な理由があるのかもしれないと考えている。つまり、いま政府がデフレ脱却宣言をすれば、当然日銀は、現在安定的なインフレ率2%達成を目指して、短期金利は日銀当座預金のうち、政策金利の残高にマイナス金利を適用して、長期金利は10年物国債の金利が0%程度で推移するように長期国債の買い入れを行うイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を解除することとなる。

 そうすれば、当然金利は上昇し、巨額な債務を抱える財政は、一気にとまでは言えないものの、利払い費の増加で悪化するのは不可避であるし、アベノミクス開始以来続いた株高もいよいよ終焉を迎えるだろう。しかも、大量の国債と上場投資信託(ETF)の下落で日銀の財務状況が悪化し、利上げにもかかわらずさらなる円安、インフレの昂進があるかもしれない。

コロナ財政からの脱却こそが必要

 今年の骨太の方針に「コロナからの正常化」とあるように、一刻も早くバラマキばかりのコロナ財政からの脱却が必要だ。そのためには、例えば、とりあえず過渡的な措置として歳出規模(当初予算)を対国内総生産(GDP)比で消費増税及びコロナ前の2018年度の17.6%にまで削減し(23年度当初予算は20%程度)、補正予算は財政法第29条にある「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出」に限定し、予算総額の抑制に舵を切るべきだ。

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