ロシアとウクライナの狭間で
22年3月7日にロシア政府は日本などと同じく韓国を非友好国と指定した。対ロシア制裁を巡って他の西側諸国と足並みが揃わず、若干トーンダウンした対応を見せた韓国が抱える事情には、ロシアに進出している自動車産業などへの影響だけでなく、宇宙開発も含む、ロシアとのさまざまな分野での協力関係を今後どうマネージしていけばよいのか、すぐに判断ができなかったからではないだろうか。
韓国メディアの報道によれば、ウクライナがロシアによる侵攻以後、韓国からの武器援助リストを示したとされる。今年4月に駐韓ウクライナ大使が防衛産業大手のLIGネクスワンを訪問することが報じられている 。
ウクライナは防空能力向上を進めており、同社製の中距離地対空ミサイル「天弓」が候補に挙がっていたことは容易に想像できる。「天弓」はまさにロシアから技術供与を受けたコールド・ローンチ技術が活用されている。
今年1月にアラブ首長国連邦(UAE)との間で最新の「天弓2」の契約が結ばれ、輸出装備品としての存在感を高めている。韓国は自国製であることを強調しているが、ここまで紹介してきた通り、ロシアによる技術提供が大きな役割を果たしていることは確実だ。
ウクライナとロシアの戦争が長引く中で、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は自由・民主主義国との連帯へと舵を切った。同時に、軍事技術の面では、自国の技術革新に注力して「科学技術強軍」を目指している。
今でこそ世界でも名だたる防衛産業輸出国となった韓国の技術革新に寄与してきたのは、意外にも米国だけでなくロシアの力も大きかったのである。