2024年4月15日(月)

Wedge REPORT

2023年12月6日

 3つ目の違法宿泊施設の取り締まり計画(Plan de choque contra el alojamiento ilegal)導入も画期的だった。民泊そのものの根絶を目標としているわけではないが、それらに法的な規制をかけた形である。

 民泊は市条例を定めて管理しており、無許可物件には罰金を科すルールが導入された。無許可物件を通報する窓口が市のサイトに設けられている。Airbnbのような仲介サイトは無許可物件を掲載しないよう市の依頼を受けた。

 4つ目の政策が観光戦略計画2020(Plan Estratégico de Turismo 2020)の策定である。この計画は「ガバナンス」、「知識」、「デスティネーションとしてのバルセロナ」、「モビリティ」、「宿泊施設」、「空間マネジメント」、「経済開発」、「コミュニケーション・受入環境」、「課税・財源」、「規制・整備」の全10項目で構成されている。本稿では詳細には立ち入らないが、例えば「知識」においては、データを活用して現状分析を行い、観光地の需要予測や分散化による観光客の混雑緩和に取り組むために経済学、IT、地理学等の専門知識を有するスタッフを有する「バルセロナ観光観測所」を設立した。

 観光客の局地的集中を緩和し、目的地を分散するために、バルセロナ市は新たな地域交通バスルートを導入し、データから得られた情報をもとに、観光客が集中する場所および時間を避けた観光ツアーを提供した。

必要なのは状況判断と対策の変更

 オーバーツーリズムには万能薬は無い。状況次第で有効な対策は変わってくる。例えば15年のバルセロナの大胆な宿泊施設凍結は、それまでの劇的な観光客の増加故である。

 基本的なオーバーツーリズム対策の考えを知ることで、それらを知らずに無防備でいるよりは良い対応ができる。少しでも良い対応をし、それを継続的に改善することが重要なのである。

 コウラ氏の就任以前から入場管理のためにザグラダ・ファミリアやグエル公園には入場料が課されていたが、効果測定をしながらその料金体系はしばしば変更されている。今回紹介したバルセロナは一例であり、そのまま真似することを推奨しているわけではない。多くの示唆を与えてくれる事例としてみてほしい。

 バルセロナも現在進行形で対応を調整し続けている。できればDoxyモデルの初期段階から対応を始めるとよい。事前の準備は重要なのだ。次回は、日本国内すべての地域が準備をしておく必要があるという話をする。

参考文献
Doxey、 G. (1975). “A. Causation Theory of Visitor-Resident Irrıtation: Methodology And Research Inference.” Proceedings … of The 6th Annual Conference of the Travel Research Association. San Diego、 CA:Travel Research Association、 p. 195-98.

   
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