どちらにしても、インドは、地域への展開を進めている。レユニオン島にも、すでにインド資本のラディソンホテルがつくられていた。ホテルはインド人の展開を進める拠点になり得る。
そして、米仏印3カ国は、協議し、情報交換して連携している。まさに、中国対米仏印という構図で、パワーゲームの舞台になりつつあるのである。
日本は?
フランスが主催した初めての国際会議に日本、豪州、インドから発表者を招いたのは意図的な動きとみていい。フランスは、米印との連携だけでなく、日豪を招こうとしているのである。
実際、最近のフランスの動きは日本との連携を模索している。今年、フランスの最新型の戦闘機ラファールが初めて日本に来て、航空自衛隊と共同演習を行った。またインド洋でも、フランスは共同演習「ラペルーズ」を主催、その演習に呼ばれたのは日米豪印、つまりQUADの4カ国と、英国、カナダだった。
だから日本としても、中国が何を考えているのか探るのに、この地域の動きに関心を持つべき時が訪れている。ただ、日本の存在感は皆無といっていい。
今回の国際会議では、現地に設置されたフランスの政府施設での立食パーティが含まれていた。そこでみたのは、フランス以外に、ヨーロッパの各国がレユニオン島に名誉領事(現地にいる人に臨時にその国の代表権を与えるもの)を配置して情報収集と交流を行っていることだった。そして、フランス側の出席者からあった質問は、中国が来ているのに、なぜ日本は誰も来ないのか、という疑問であった。
日本の外交官の人数には限りがあるのだろう。フランス語ができる人間も少ない。フランスにある日本大使館が担当するのか、アフリカにある日本大使館が担当するのか、官僚機構の縦割り的な問題も起きるかもしれない。外務省だけでなく防衛省も関心を持つべきであるが、防衛省にはフランス語ができる防衛専門家が少ないのかもしれない。
しかし、レユニオン島のような安全保障上の要衝にもっと人を派遣して、情報を常時収集したり、現地の有力者とのつながりをつくらないと、中国の動きはわからないし、同盟国や友好国との連携も図れない。今後、退職した人や臨時雇いでもいいから、もっと人を配置する体制を整える必要があろう。
人材が足りない中、日本には柔軟な発想と実行が求められるのである。