気軽になれそうだと思えた認知症サポーターすらも、こんなにもハードルが高いのかと、私は少々落胆し、人はどうやって情報を集めているのかと本気で不思議に思った。
しかしこれは、サポーターに限ったことではないのかもしれない。
情報社会の現代では、あらゆる事柄が情報を求める人たちのもとに集まって早いスピードでどんどん専門的になっていき、知らない人間が見た段階では、もはや追いつけないほどの難解なものになっていがちだ。
認知症に関しても、専門的な知識を持つ人が増えるにつれて、一般人との「認識の差」が広がっているのではなかろうか。認知症は、去年、アルツハイマー治療薬が初めて使用開始になったり、「認知症基本法」が成立したりと、これまでになく動きがあり、注目が集まった。が、実際の現場でどのようなことが行われているかを知っている人がどれくらいいるだろう?
私に関して言うならば、勉強不足というのは否めない。が、認知症に関する情報は、そんなにも勉強しなければならないものばかりであってはいけないような気もする。なぜなら、認知症とは、誰にでもふいに降りかかる可能性があるだからだ。
総力戦で取り組むために
認知症は、今後の増加率を考えたら、近いうちに「特別なものではなくなっていく」はずだ。それだけに、いろんな人が常識として、「認知症ケアのハウツーを知っている状態になるといい」と私は思う。
認知症サポーター養成講座では、90分の時間内にビデオを見て、プラスアルファで専門家の解説があったり、当事者の方のお話があったりすると言う(受講してないから不確かですが)。ならば、いっそオンラインで、いつでも誰でも見られるようにすればいいのではないかとも思う。もしかしたら、「地域で担う」「地域で支える」ために行う講座なので、対面で行うことをより重視しているのかもしれないが、情報としての門戸は広く開いていてほしいとやはり思う。
私は、去年からにわかながらも各地の行政や関連団体の方にも取材を行っているが、どの現場でも、担当の方はあり得ないほど熱心に、かつ、誠実に、この問題に取り組んでいた。その姿を目の当たりにしているだけに、有効な情報が「存在しているのに、伝えられていない」のはもったいないとどうしても思う。ついでに言うと、公的機関が予算を出して制作した冊子などのコンテンツは著作権フリーにしてほしいと思った。とても素晴らしい内容で、しかもわかりやすいと感じられたのに、紹介を諦めたものが実は結構あるからだ。
今後、私たちは総動員体制で認知症に取り組むことになるのかもしれない。それならばなおのこと、不要な壁はすみやかに取り除かれるべきだと思うし、有効な情報は誰でも手が届く場所にあってほしいと私は切に思うのだ。(続く)