2024年5月20日(月)

一人暮らし、フリーランス 認知症「2025問題」に向き合う

2024年1月5日

認知症人口は、2025年には700万人になると言われている(厚労省「認知症高齢者の将来推計について」より、認知症施策 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)。この連載では、認知症を回避するためにできることはあるのか、また、認知症対策として今、どのようなことが行われているのかなどについて、様々な現場に足を運びながら見ていく。なお、筆者の立場は、「離れて住む実家の母の認知症を防ぐこと」。よって、対策を見ていく際には、「どうすれば自分以外の人にその対策を行ってもらうことができるのか」も合わせて考えていきたい。

科学的知見に基づく情報とは?

(designer491/gettyimages)

 以前私は、東京都が作成する認知症のサイト「とうきょう認知症ナビ」を取り上げたが、そもそも国レベルでは、どのような情報が出されているのだろうか。

 厚生労働省の認知症施策のページをチェックしたところ、「あたまとからだを元気にする MCIハンドブック」(以下、ハンドブック)なる冊子形式のPDFファイルに行き着いた。

 MCI(Mild Cognitive Impairment)とは軽度認知障害のことで、この段階で対策を取れば、認知症を回避する可能性があるとされている(『コロナ後に分かった、急増する母世代の認知症』)。つまり、このハンドブックにこそ、今の私が求めている情報が詰め込まれているに違いない。

 そう考えた私はハンドブックを発行した国立長寿医療研究センター・研究所長の櫻井孝先生にお話を伺うことにした。

 国立長寿医療研究センターの研究所は、「加齢に伴う疾患の調査、研究、技術を開発する」ことを使命として2004年に設立された機関で、愛知県にあるという(私はこの取材で初めて知りました)。認知症の診断、治療などに関する研究を行う「認知症先進医療開発センター」や、認知症にフォーカスしたゲノム医療の基盤を構築する「メディカルゲノムセンター」など6つの研究センターがあり、わが国の認知症研究の根幹を担っている。

国立長寿医療研究センター・研究所長の櫻井孝先生

 隣接する病院には、「もの忘れセンター外来」があり、年間1000人もの初診患者が県内外から訪れる。

 また、国立長寿医療研究センターでは、全国5カ所の施設との共同研究 (J-MINT研究)を行い、認知症のリスクを有する高齢者において、生活習慣病の管理、運動、栄養指導、認知トレーニングから構成される「多因子介入プログラム」を継続することで、認知機能が改善するのを明らかにしたという。

 つまり、ハンドブックには、認知症に関する最新の科学的知見に基づく情報が詰め込まれているのだ。

「認知症になる危険因子には、糖尿病、肥満、喫煙習慣、高血圧などがありますので、これらをいかに取り除くかをまずは意識することです。そのためには、運動・食事・社会参加の三つを3本柱として、生活を見直すこと。そして実行し、継続することが認知症リスクの低減につながります」(櫻井先生、以下同)

 先ごろ、アルツハイマー病の治療薬の使用がスタートして話題になっているが、「認知症に治る可能性が見え始めた」という意味で大きな意味があるものの、現時点でより現実的なのは、薬に頼らない対策を行うことだという。

「認知症の原因疾患としてはアルツハイマー病が有名ですが、認知症の原因疾患は、実は100以上あると推測されます。そして複数の病気が重複することが多いともわかってきました。そのため、非薬物による認知症対策が重要なのです」

 また、当たり前だが、薬には副作用がある。副作用リスクを回避する意味でも、薬に頼らない対策を実践するのが大切なのだ。


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