2024年12月11日(水)

一人暮らし、フリーランス 認知症「2025問題」に向き合う

2024年1月19日

認知症人口は、2025年には700万人になると言われている(厚労省「認知症高齢者の将来推計について」より、認知症施策 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)。この連載では、認知症を回避するためにできることはあるのか、また、認知症対策として今、どのようなことが行われているのかなどについて、様々な現場に足を運びながら見ていく。なお、筆者の立場は、「離れて住む実家の母の認知症を防ぐこと」。よって、対策を見ていく際には、「どうすれば自分以外の人にその対策を行ってもらうことができるのか」も合わせて考えていきたい。

認知症サポーターとは?

(takasuu/gettyimages)

「認知症について学びたい」、というよりは、「認知症を回避する策について学びたい」というのがこの連載の意図である。なぜかというと、認知症について専門的に学ぶほどの時間的猶予が私に(も母に)もないような気がしているのに加え、専門家以外の人間でも、誰もが「自分のできること」の中で認知症とかかわりあう術を探りたいと思うからだ。

 とはいえ、最低限の知識や行動の指針~たとえば、認知症の人への接し方などは知っておきたいところだ。そこで、ごく普通の人間がどうしたら認知症の勉強を気軽にできるのかと調べたところ、「認知症サポーター(mhlw.go.jp)」というものに行き着いた。

「認知症サポーター」とは、認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域に暮らす認知症の人やその家族に対してできる範囲で手助けをする人のことで、2005年に厚労省の呼びかけでスタートしたようだ。認知症サポーターは、認知症施策について調べると必ず出てくるワードのひとつで、2023年9月末の時点で全国になんと1482万2637人も人がいるらしい(「全国キャラバン・メイト連絡協議会HP」より)。

 なんと!

「え、そんなにいたの?」と、この数を聞いて、思った。なんせ私は今日この日まで、自分の周りで実在する認知症サポーターを見たことがないのだ。しかもこの事実を会う人ごとに伝えているが、「その制度は初めて聞いた」というような人ばかりで、実際のサポーターを知っている人にすら会えてない。

 総務省統計局の調べでは、2023年10月の時点で1億2434万人。つまり、1482万人という認知症サポーターの人数は、総人口の10分の1以上だ。しかも赤ちゃんや幼児・児童を除いた「物心がつく年齢以上の人」で考えると、7~8人に1人程度は認知症サポーターということになるだろう。しかし、彼らはどこにいるのか?

 認知症サポーターになるには、「認知症サポーター養成講座」を受けるだけでいいらしい。しかもそれは、90分ほどの長さのものを一回受講するだけという。

 受講方法は、厚労省のHPによると、「認知症サポーター養成講座は、地域や職域団体等で、住民講座、ミニ学習会として開催しています。受講をご希望の場合には、在住・在勤・在学の自治体事務局へお問い合わせ下さい」とある。

 開催事例を言うと、企業では、金融機関やスーパーマーケットなどで養成講座は行われていて、他には小・中・高校などでも開催されているとか。それもあってか、年齢別内訳を見ると、少し情報が古くなるものの、2015年12月時点の厚労省資料によると、10代の認知症サポーターが70代・60代に次いで多い。そして20代~50代の働き盛りには少ない。だから私の周りに情報が及んでなかったのかもしれない。

 とはいえ、「できる範囲で地域の認知症の人や家族を手助けする人」になら、私もなっておきたいところだ。そこで、制度を知った2023年6月の時点で、住んでいた区市町村の福祉課に開催予定を問い合わせてみた。すると、問い合わせた日から2カ月以内に養成講座が開催される予定は「2回」。開催場所は、当時住んでいた住まいの路線とは違う路線の駅から歩いて数十分程度の高齢者施設だという。家からは、電車とバスで2時間ほどの距離だった。しかも、開催日は平日だったので、「無理だな」と私は思い、当時引っ越す予定だったので、引っ越してから受講しようといったん気持ちを切り替えた。

 が、引っ越し後の9月末に、改めて新住所の担当部署に赴いて、「これから受けられる講座の予定」を問い合わせたところ、「来年2月か3月に行われると予想されるが、日程がまだ決まってないため、募集できる状況にない」という。しかも、日程が決まるのは1月以降になるというので、この原稿を書いている12月末時点で開催の情報はない。

 ここまでをまとめると、私が認知症サポーターになりたいと思ったのが、去年6月で、半年が経過した今も、養成講座を受けられていないということだ。

 いったいどうしてなのだろうーー?


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